バイオマスPC生産・販売へ 三井化学と三菱ガス化学

2023年02月10日

ゴムタイムス社

 三井化学と三菱ガス化学(以下MGC)は2月9日、2050年カーボンニュートラル実現の一環として、三井化学のBePLAYERブランドより展開予定のバイオマスビスフェノールA(以下、バイオマスBPA)を MGCのポリカーボネート樹脂(以下、PC)「ユーピロン」のモノマー原料として提供し、MGCにてバイオマスPCの生産・販売に向けた取り組みを開始したと発表した。
 三井化学は、2021年12月に日本で初めてバイオマスナフサを原料とする誘導品・製品群を、ISCC PLUS 認証制度に基づいたマスバランス方式によって割り当て、バイオマス化学品・樹脂を販売している。従来、植物由来原料から直接にバイオマス芳香族化合物を調製することが困難であったバイオマスフェノール・チェーン製品においても、順次製品の提供をはじめており、2024年3月までにBPAを含む全7製品の認証取得と販売の開始を目指している。このたび、バイオマスBPAをMGCに提供することとなった。
 MGCは、三井化学の ISCC PLUS 認証のバイオマス BPAを国内で初めて購入し、MGC鹿島工場において界面重合法によりバイオマスPCの生産に向けた取り組みを開始する。
 また、MGCのグループ会社である鹿島ポリマーではペレット賦形品や機能性コンパウンド製品、及びMGCフィルシートでは高硬度高透明のシート製品や成形用フィルム製品の加工設備を用いることで、バイオマスPCに機能性を付与することが可能。さらに、三菱エンジニアリングプラスチックスならびに三菱ガス化学トレーディングの全世界的な販売網を通じてこれらを市場展開し、製販一貫でバイオマスPC製品のサプライチェーンを構築中となる。
 加えて、MGC鹿島工場ならびに上述のMGCグループ会社においては、本年末までに ISCC PLUS 認証の取得を目指しており、取得後にはサプライチェーンを通じてマスバランス方式により、自動車、電気電子、光学、OA、半導体といった様々な分野にこれまで困難だったバイオマス PC製品群を広く展開、提供することが可能になる。 
 また、MGCが取り組んでいる「環境循環型メタノール」を用い、PCの全骨格を CO2由来または植物由来とする計画を立てている。
 一方、海外においても、PC素材の製造拠点であるタイポリカ―ボネート社、三菱瓦斯化学工程塑料社で ISCC PLUS 認証取得を計画中となる。
 両社は本取り組みにより、サプライチェーン全体の温室効果ガス(GHG)排出量削減に貢献することで、カーボンニュートラル社会の実現を目指していく。

バイオマスポリカーボネートイメージ

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