年頭のあいさつ 丸紅 柿木真澄社長

2022年01月07日

ゴムタイムス社

1. はじめに
 新年あけましておめでとうございます。
2022年のスタートを皆さんと無事に迎えることができ、大変嬉しく思います。
 当社グループ社員やお客さま、パートナーの皆さま、特に海外を含む現場に近い場所で働いている皆さまの中には、この年末年始も移動や活動が制限され、ゆっくりできる状況ではなかった方々も多数いらっしゃると思います。
 そのような状況ではありますが、2021年度の丸紅グループの業績は順調に推移しており、史上最高益となる3,500億円が視野に入っています。修正GC2021で「未曾有の非常事態、生き残りの忍耐の時」と述べさせて頂きましたが、足元の好業績は、様々な制約が課される中での、現場の皆さん一人ひとりの持ち場での粘り強い頑張りと努力の積み重ねが、形そして数字となって表れたものだと思っています。この場を借りて、皆さんの奮闘に改めて感謝申し上げます。

2. 当社を取り巻く環境について
 2022年は、顧客やパートナー、ステークホルダーから当社への期待も、より大きくなった状況で新たなスタートを切ることになります。
まず、当社を取り巻く環境について3点触れたいと思います。
 1つ目は世界情勢についてです。
 2月に開催される北京オリンピック・パラリンピックでも米国などの外交的ボイコットと中国の反発が取り沙汰されています。今年も米中関係を中心に世界情勢の変化、日本を含む世界各国の経済安全保障の動向には注意が欠かせず、タイムリーな対応が求められます。
 また、米国中間選挙など主要国で相次ぐ国政選挙や、第20回中国共産党大会の動向を見守ることも大切です。日本でも「成長を実現し、その果実を実感」できる経済を目指す岸田内閣が、昨年の秋の衆院選に続いて今年の夏の参院選を乗り切り、成長に向けた政策実践を本格化していくかが問われます。
各国の成長政策や金融政策、そして気候変動への対応等は、同時に同じ方向に進むのではなく、様々な形で進むはずです。政策や対応の違いにより現在の枠組みや仕組みが大きく変わり、突如として部分的なデカップリングやそれによるサプライチェーンの見直しを迫られる可能性もあります。
 2つ目はサステナビリティについてです。
 昨年11月にCOP26が開催され、産業革命前からの世界の平均気温の上昇幅を1.5度未満に抑えることを、世
界全体の目標とすることが合意されました。
 2020年代は目標達成に向けた「決定的な10年間」と位置付けられており、このサステナビリティを巡る世界的な潮流は一層加速していくと考えています。
気候変動問題に限らず、食糧・水資源、循環型経済、生物多様性、人権保護(擁護)等のサステナビリティへの取り組みは、あらゆる企業が果たすべき義務であり、解決すべき社会課題です。
 一方で、この流れも全世界一様ではなく、地域やビジネス領域に応じて差があり、解決策もまた一様ではありません。移行時期特有の社会課題が現実より軽く見られることがあるように思えますが、丸紅グループは移行時期特有の社会課題にもしっかりと目を向けて、時代をリードしていく取り組みを更に進めていく必要があります。
 3つ目は新型コロナウイルス感染症についてです。
 今なお、世界を苦しめている新型コロナウイルス感染症は文字通り機会と脅威をもたらしました。
人々の生活様式が大きく変わり、多くの新たな製品やサービスを生み出すと共に、従来型の製品やサービスは存続の脅威にさらされることとなりました。新型コロナウイルス感染症の拡大によって生じた機会と脅威は、今後コロナ禍が収まっても元には戻らないでしょう。私たちはコロナ禍を経て変わり、戻らない世界や社会をよく見極めて適切に対応していく必要があります。
 安定的と思われていた既存産業や優良企業とされていた企業の中でも、従来型ビジネスに固執して危機対応が遅れた企業は業績が悪化しています。逆に、危機を素早く察知してデジタル化やサプライチェーン再編に取り組むきっかけとすることで、業績を改善させている企業もあります。
 このような変化は新型コロナウイルス感染症が拡大する前からも所々で起こっていましたが、これを契機に、様々な変化が一気呵成に動き出したと感じています。そして、その対応やスピード感の違いが、世の中に多くの新たなギャップを生み、社会やお客さまの課題となっています。
変化の過程に潜む世の中の課題、ギャップに対して、いち早く新たな価値を創造・提供していくことが当社グループの使命であることを、グループ社員一人ひとりに今一度、しっかり認識して頂きたいと思います。
 商社は「世の中のギャップを埋め続ける永遠のパートナー」だと考えています。不変の価値観である社是「正・新・和」の精神に則り、ギャップの中に潜む「社会・顧客の課題に向き合い、新たな価値を創出する」ことが、変化の激しい時代においても、私たちには求められています。

3. GC2021の取組み、次期中期経営戦略について
 2022年はGC2021の仕上げの年であり、次期中期経営戦略のスタートの年になります。
 足元の業績は冒頭にも述べた通り、史上最高益を目指す、非常に喜ばしい状況にあります。
資源価格等の商品市況や生活関連ビジネスの環境改善も大きな追い風となりましたが、この追い風をしっかりと活かすことができたのは、それだけの経営基盤を維持していたからこそであり、現在の丸紅グループの強みだと思います。
 様々な領域に張り巡らせた小さくともしっかりとした収益の柱、既存事業の競争力維持・強化への地道な取り組み、そしてそれを推進する皆さんの頑張りが足元の業績を支えており、経営環境変化に対する当社のレジリエンスにも繋がっています。
 ですが、当社だけではなく商社業界全体が好業績だと持てはやされる中、この結果に満足して未来への備えや挑戦を怠れば、すぐに先細りしていってしまうという危機感を、一方で強く持っています。
 世の中の非連続な変化、既成概念のディスラプションはますます顕在化し、今後は加速化していきます。先行きの不透明な環境に立ち向かうために必要なことは、それぞれの領域、持ち場で知恵を絞って果敢に挑戦し続けていくことです。逆に、現状に胡坐をかいて挑戦を怠れば、あっと言う間に取り残されていく、そういう世界に私たちはいるのです。
 2022年は、果敢に新しいことへの挑戦を1つでも2つでも実践する年にして頂きたいと思います。新しいことへの挑戦というと、直ぐに新しい分野への新規投資に結び付けることが往々にしてありますが、それだけではありません。既存事業のコスト競争力の維持または改善に取り組むことや、お客さまの悩みに応える新たな商品やサービスを提案すること、デジタル化等による社内業務の効率化や経費削減アイディアを捻りだすことも立派な新しいことへの挑戦です。思わぬところから道が開けることもあります。これは、という閃きがあれば、まずは周囲の方々と共有するところから始めてみて頂ければと思います。
会社としても新しいことへ挑戦し続けます。各組織の戦略実行力と人財の成長を最大化するためのミッションを軸とした人事制度の導入、多様な人財の採用・育成に向けた取り組み、様々なコミュニケーションの機会を創出するための新社屋のフリーアドレス化は、その一例です。これらの挑戦はしっかりと根付かせるために、必要に応じて改善や見直しを加えながら継続して取り組んでいきたいと思います。
 既存事業を持続可能な形で成長させていくことが最重要ですが、ビジネス環境の複雑性は日に日に増しており、従来型の常識や考え方ではなく、新しい視点や専門性が求められる領域も増えてきています。また、会社としてこれまで取り組むことができていない領域にスピード感を持って取り組むには、外部の知見との積極的な掛け合わせが1つの有効な方法です。全社として抱えているこれらの課題についても、会社の従来の制度や取組体制を必要に応じて柔軟に見直していくなど、新しい挑戦をしていきたいと考えています。

4. 最後に
 冒頭にも述べましたように、2022年は、丸紅グループが一層の飛躍を遂げることができるのか、大きな注目が集まる中での船出となります。
2030年の中長期的な企業価値向上に向けて、今が勝負です。「正・新・和」を揺るぎない道しるべとしながら、社会・顧客の課題と向き合い、新たな価値を創出する。

 皆さんの挑戦が、未来を創っていきます。その先に、当社グループとしての持続可能性と多様性を兼ね備えた成長と丸紅の在り姿があると確信しています。
最後になりましたが、新型コロナウイルス感染症は変異株の出現もあり、依然として世界的に注意が必要な状況が続いています。国内外のグループ社員、顧客・パートナーの健康・安全確保が第一です。今後も引き続き可能な限りの支援策等を検討していきたいと考えています。

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