積水化学らがNEDOに採択 カーボンリサイクル研究の委託事業

2025年06月19日

ゴムタイムス社

 積水化学工業、東京大学、東京科学大学は、NEDOの委託事業「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2有効利用拠点における技術開発/研究拠点におけるCO2有効利用技術開発」に共同で応募し、「水素不使用高エネルギー効率CO2由来導電性カーボン材大規模製造技術の研究開発」の実施先として採択された。
 気候変動課題が深刻化する中、温室効果ガスの一つである CO2の排出量を大幅に削減することが世界的に求められている。その中で、CO2を分離回収して利用するCCU(Carbon Capture and Utilization)技術のうち、CO2を炭素資源として再利用し、燃料や化学製品に変換するカーボンリサイクル技術は、CO2排出を抑制する重要な技術として注目されている。また、炭素製品は自動車、建築、機械、電子部品など幅広い分野で使用されているが、炭素源だけでなく、その製造工程で化石燃料を多く消費するためCO2排出量が大きく、これをいかに削減できるかが喫緊の課題として認識されている。
 今回、積水化学、東京大学、東京科学大学それぞれが有する先進的技術を融合し、水素を使用せずにCO2を原料とする導電性カーボン材を製造する技術の確立を目指し、脱炭素化に貢献する。
 積水化学は、CO2をCOに高効率で変換する独自のケミカルルーピング技術を保有しており、今回はこの技術に東京大学のマイクロ波加熱触媒反応技術を組み合わせ、水素を使用せずにCO2からCOを生成する革新的反応の開発を行う。また、東京科学大学は、プラズマ触媒技術によりCO→炭素材反応(CO不均化反応)の低温化と高効率化を実現しており、この技術を用いて導電性カーボン材の製造プロセスを構築する。
 最終的には、広島県大崎上島町にあるNEDOのカーボンリサイクル実証研究拠点にて反応実証を実施し、火力発電所から排出されるCO2を原料として高い電気伝導性を有する炭素素材を合成するプロセスのスケールアップ検討を進めていく。
 今後は本技術の社会実装に向けて、2027年までに基盤技術の確立を目指すとともに、2030年代の事業化に向けた実証・検証を進める。また、持続可能な資源循環社会の構築と脱炭素社会の実現に貢献していく。

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