ダウ・ケミカル日本の親会社であるダウは6月20日、子ども・子育て分野における社会課題の解決に取り組むフローレンスへの寄付を通じて実施した「医療的ケア児の保育拡充」プロジェクトの終了を発表した。本プロジェクトは、約1年間にわたるプログラムを経て、2025年5月末をもって完了した。
新生児医療の進歩により、人工呼吸器や胃ろうなどの医療的ケアを日常的に必要とする「医療的ケア児」は年々増加しており、厚労省によると、現在全国で約2万人に上ると推計されている。こうした子どもたちは、24時間体制のケアが求められるため、多くの保護者、特に母親が就労機会を得にくい状況にある。
本プロジェクトでは、認可保育園における医療的ケア児の受け入れを推進することを目的に、オンライン教材「フローレンスの【医療的ケア児保育】はじめて研修」を制作、現場体験型の研修を実施し、さらには介助訓練用のオーダーメイド人形の開発を行った。これにより、保育施設における受け入れ態勢の整備と、母親の就労支援につなげることを目指した。
2025年3月末の時点で、1カ所の自治体、2か所の保育施設、計45名の職員が研修を受講した。今後も全国の自治体や保育業者への展開が予定されており、さらなる拡大が期待される。
また、プロジェクトには述べ100名以上のダウ日本の従業員が参加し、フローレンスが運営する障害児専門保育園の見学や、季節のイベントへのボランティア、催し物で使われる手作りの備品制作などを通じて、障害のある子どもに関する社会課題について学びを深める貴重な機会を得た。
本プロジェクトは、同社がグローバルで展開するERG(ダイバーシティネットワーク)による地域貢献活動の一環であり、同社の「ALL IN ERGファンド」の助成を受けて実現した。2019~2024年の間に、同ファンドを通じて世界30カ国における78のプロジェクトに計180万ドルが拠出されており、ダウ日本の提案が採択されたのは本プロジェクトが初。
同社は、世界で最もイノベーティブ、顧客本位、インクルーシブでサステナブルな素材化学会社になることを掲げており、本プロジェクトもその実現に向けた取り組みの一つとなる。