東ソー、東京科学大と共同研究 国際学術誌に論文が掲載

2025年06月24日

ゴムタイムス社

 東ソーと東京科学大学(旧東京工業大学)は6月23日、新規強誘導体窒化物に関する共同研究成果として下記の論文を発表し、2025年4月22日付で国際学術誌「APL Materials」に掲載されたことを発表した。

 同社は、半導体製造にかかせない薄膜を形成する材料としてターゲット材を製造・開発している。薄膜は、基板上に形成される非常に薄い膜で電子部品の機能や性能の実現に重要な役割を持っており、本研究では、窒化アルミニウムと窒化ガリウムを合金化することで従来よりも高濃度なスカンジウムを結晶に取り込んだ膜が作製可能なことを世界で初めて明らかにした。この発見は、多種類の元素を混合することで元素の取り込み量が増加する「エントロピー効果」を窒化物材料に応用したことによるもの。半導体メモリに使用される窒化ガリウム、窒化アルミニウムにスカンジウムがより多く取り込まれることで、動作の低電圧化および劇的な低消費電力化の実現が可能となる。また、圧電性や電気光学効果の向上も確認され、今後は高周波ノイズフィルタや超低消費電力で動作する光コンピュータなど、次世代デバイスへの応用が期待される。

 同社は、本研究の成果を活かして今後もターゲット材料の開発を推進し、超低消費電力メモリや各種高性能デバイスの実用化を目指すとともに、持続可能な情報社会の発展に貢献していくとしている。

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