帝人 NYタクシーの新型車種にPC樹脂を採用

2014年02月27日

ゴムタイムス社

 帝人は2月21日、同社のポリカーボネート(PC)樹脂「パンライト」製のグレージングを使用したパーティション窓が、米国・ニューヨーク市のタクシー(以下、イエローキャブ)の新型車種である日産自動車の「NV200ニューヨーク市タクシー」に搭載されたと発表した。
 同社はこれを契機として、PC樹脂の同用途への本格展開に向けて、グレージング部品の商業生産を開始するとしている。
 グレージングは、樹脂などにより射出成形されたガラス・金属代替パーツ。パーティション窓は、防犯のため、運転席と後部座席の間に設置される大型の間仕切りのこと。
 地球温暖化防止、化石資源の消費削減など、地球環境保全の機運が高まる中、自動車業界では環境に対する配慮から、車体の軽量化や燃費改善などが大きな課題となっている。そのため、ガラスや金属の代替として、自動車窓やボディ材などの自動車パーツの樹脂化が進んでいる。
 同社は、これまでもパノラマルーフやクォーター・ウィンドウ、ラゲージドアガーニッシュなど、自動車パーツの金属代替素材として様々な特性を有するPC樹脂を開発しているが、車体の軽量化が進む中、バックドアやフェンダーなどの大型パーツについても、顧客からの樹脂化のニーズが高まってきている。
 海外のタクシーを中心に、防犯用パーティション窓の設置は一般的になっており、ガラスの200倍以上の耐衝撃性を持ちながら、重量がガラスの半分であるPC樹脂が、従来よりそれに適した素材として使用されている。
 今回採用された「パンライト」製グレージングは、「NV200ニューヨーク市タクシー」のパーティション窓として、日産車体と共同開発したもの。
 「パンライト」を世界初となる三次元厚肉射出プレス技術で成形し、同じく世界初となる三次元両面フローコーティング技術によってハードコート処理を施すことで、これまでPC樹脂製のパーティション窓では実現不可能とされていた「歪みが少なく、高い視認性」と「従来工法では実現不可能な美しいデザイン性」の両立を可能とした。こうした同社独自技術による『車窓の新しいカタチ』が評価され、採用に至った。
 現在、ニューヨーク市内には約1万3000台のイエローキャブが走行しており、順次このグレージングによるパーティション窓を搭載したタクシーに切り替えられる予定。
 今後の展開について、同社では、この採用を契機として、同樹脂のグレージング用途への本格展開に向け、三原工場(広島県)および松山工場(愛媛県)において同樹脂グレージングの商業生産を開始する計画。同樹脂グレージングを樹脂事業のコアビジネスとして確立し、2019年度までに年間売上高100億円を目指していく。
 同社は、中長期経営ビジョンの注力分野の1つとして「モビリティ」(自動車や航空機など)を掲げている。今後も、同社グループが有する様々な技術や素材を組み合わせることで、車体の軽量化などの顧客ニーズに応えるソリューション提供を加速していく考えだ。

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