旭化成エレクの電流センサーが採用 アーク故障検出リファレンスデザインに

2026年09月10日

ゴムタイムス社

 旭化成エレクトロニクスは9月8日、コアレス電流センサー「CZ39」シリーズおよび「CZ3K」シリーズが、米国の大手半導体メーカーMicrochip Technologyの機械学習(ML)/AIを活用したアーク故障検出リファレンスデザインに、主要構成部品として採用されたと発表した。
 同リファレンスデザインでは、制御機能とデジタル信号処理機能を備えたMicrochip社の「dsPIC33A DSC」が使用されている。同社の電流センシング技術と、同製品によるリアルタイム信号処理およびエッジ機械学習処理を組み合わせることで、高精度かつ信頼性の高いアーク故障検出の実現を支援する。
 アーク故障は、太陽光発電システム、蓄電システム、EV充電インフラ、産業用・住宅用配電設備における電気火災の主な原因の一つとなる。これまでのアーク故障検出では、センサーで検出した信号をあらかじめ設定した基準値と比較して、異常かどうかを判定する方法が一般的だった。
 しかし、住宅および商業用の交流(AC)回路では、掃除機や電動ドリル、調光器(ディマー)などの日常的な機器が、スイッチ接点やモーターブラシ部分でアークを発生させるため、危険なアーク故障とよく似た信号を生成する。
 また、太陽光発電、EV充電器、エネルギー貯蔵システムなどの直流(DC)システムでは、リレー接点のバウンス、インバーター動作、コンデンサの突入電流などによるスイッチング過渡現象が、実際のアーク故障と同じ周波数帯域に広帯域ノイズを発生させる。その結果、誤検出による不必要なシステム停止が発生する。
 これに対し、機械学習を活用したMicrochip社のAFDリファレンスデザインは、この課題を解決する。統合DSPエンジンと高度なアナログ周辺回路を備えたdsPIC33A DSC上でエッジMLモデルを直接実行することで、低遅延な機械学習推論を実現する。これにより、従来方式と比べて誤検出を低減しながら、アーク故障の検出性能を向上させる。
 機械学習を用いてアーク故障を高精度に検出するには、センサーがアーク故障特有の電流信号を正確に捉えることが重要となる。同社の「CZ39」および「CZ3K」は、磁性体のコアを使用せずに電流を検出する「コアレス」方式の電流センサーとなる。100nsの高速応答と低ノイズ性能により、Microchip社のリファレンスデザインにおける高精度な判定に貢献する。
 また、同社の米国子会社であるAKM Semiconductorのエンジニアリングチームは、リファレンスデザインの開発・検証段階において、電流検出の構成についてMicrochip社と緊密に連携した。これにより、高性能な電流検出とエッジ処理を組み合わせ、誤検知の低減とアーク故障検出性能の向上を支援する新たな保護ソリューションを実現している。
 同デモアプリケーションは、Microchip社のリファレンスデザインプログラムを通じて提供され、太陽光発電、蓄電システム、EV充電器、スマート点火システム、電子ヒューズ(eーFuse)、住宅用・産業用安全スイッチなどに適用できる。
 同社グループは、エレクトロニクス事業をグループ全体の利益成長を牽引する「重点成長」事業と位置づけており、電子部品では、モバイル機器用カメラモジュール向けICや車載オーディオソリューションなどの独自の高機能部品を提供している。コアレス電流センサーについても、今後の成長を担う主力製品として、EV用途での実績を基盤に、AIデータセンターなどさらなる用途拡大を進めていく。

AIを活用したアーク故障検出デモアプリケーション

AIを活用したアーク故障検出デモアプリケーション

 

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