デンカは7月9日、ペガサス・テック・ベンチャーズと共同で運営するコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)ファンドを通じて、貼ることで血流を測定できるウェアラブル超音波デバイスの開発・製造・販売を手がけるFlosonics Medicalへ出資したと発表した。
Flosonics Medicalは、パッチ型のワイヤレス・ウェアラブル超音波デバイス「FloPatch」を開発したスタートアップ企業となる。FloPatchは、従来の血流測定とは異なるアプローチとして、患者の首に貼り付けることで血流をリアルタイムに測定できるデバイスとなる。
救急医療や集中治療の現場では、敗血症をはじめとする重症患者における血流等の循環管理が患者の予後を左右する重要な要素である一方、血流の評価には、患者の血管内に器具を入れる侵襲性の高いカテーテル法や、高度な専門技術を要する超音波診断装置に依存せざるを得ないという課題があった。
FloPatchは、首に貼り付けることで血流の変化をリアルタイムに可視化できるウェアラブル超音波デバイスとして、こうした課題に対する新たな選択肢を提供する。非侵襲的かつ迅速に血流の循環動態を把握できるため、医師のみならず看護師などの医療スタッフによる活用も可能となり、診療の標準化や意思決定の迅速化を支援することが期待される。また、FloPatchは、米国FDAの510(k)クリアランス、カナダ保健省の販売認可、欧州ではCEマーキングをそれぞれ取得している。さらに、米国の主要病院での導入が進んでおり、特に救急科や集中治療室で敗血症などの重症患者の診療を補助する目的で活用されている。
同社は、感染症診断における体外診断薬事業で培ってきた知見を基盤に、ヘルスケア領域におけるデジタル技術を活用した新たな診断・疾患管理ソリューションの創出を目指している。こうした取り組みの一環として、2024年度にはウェアラブル電子聴診器を開発するシンガポールのAevice Health社へ出資するなど、デジタルヘルス分野における取り組みを進めてきた。今回のFlosonics Medicalへの出資は、こうした取り組みをさらに発展させるものであり、成長が期待されるデジタルヘルス分野において、新たな技術や製品との連携可能性を広げることを目的としている。
今回の出資は、同社が推進する経営計画「Mission 2030」に基づく新事業の創出を目指して実施するものとなる。同社のCVCファンドは2023年に設立され、2030年度までに最大で約1億米ドルの投資を計画しており、今後も革新的な技術を有するスタートアップとの連携を通じて、新たな価値の創出と社会課題の解決を目指していく。
今後も同社は、「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる」というパーパスのもと、世界に誇れる化学で、人々の暮らしと社会に貢献していく。
2026年07月13日

