東レは3月26日、ポリメチルメタクリレート(PMMA)多孔質繊維の細孔径を数nm~約1000nmまでの幅広い範囲で任意に制御できる技術を開発し、難治性疾患の病因物質を選択的に吸着可能な多孔質繊維の創出に至ったことを発表した。本技術は、自己免疫疾患や心血管代謝疾患、神経変性疾患、がんなどの難治性疾患に対し、従来の治療法に代わる、あるいは相乗効果をもたらす新たな血液浄化治療の選択肢の提案に寄与するものである。
高齢化や生活習慣の多様化に伴い、自己免疫疾患や心血管代謝疾患、神経変性疾患、がんなどの難治性疾患の患者数は年々増加している。これらの疾患においては、薬物治療や手術だけでは効果が十分に得られないケースや、副作用あるいは再発リスクが課題となるケースも少なくない。こうした中、血液中の自己抗体やリポタンパク質、エクソソームなどに代表される、大分子量の病因物質を高効率に除去できる技術への需要が高まっている。
PMMAは、生体適合性が良好で、適度なタンパク質吸着特性を有する素材であり、PMMA多孔質繊維は、同社が業界で唯一実用化している。具体的には、人工腎臓、吸着型血液浄化器として製造販売しており、血液浄化治療用途で約50年の実績をもつ。
同社は、小角X線散乱法などの先端分析技術と相分離シミュレーションなどのデジタル技術を組み合わせて活用し、PMMA多孔質繊維の紡糸工程におけるナノレベルの相分離挙動をリアルタイムで解析することで、細孔径を従来比約50倍以上となる最大約1000nmまで制御できる孔径制御技術を開発した。一般に、大孔径化すると繊維構造がまばらになり、強度が低下するが、本技術では大孔径化と強度の両立が可能である。
本技術の適用により、従来では細孔内部に取り込むことができなかった大分子量の病因物質も選択的に吸着除去することが可能となる。
今後は、自己免疫疾患や心血管代謝疾患、神経変性疾患、がんなどの難治性疾患の治療に向け、各疾患に適した細孔径の設計と量産技術の開発を進め、早期実用化を目指す。さらに、本技術は、医療機器以外への展開も可能であり、一例を挙げると、バイオ医薬品製造用途への展開も推し進めている。
