東レは2月9日、同社が展開する柔軟PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂において、新たに難燃性と高耐熱性を付与した高機能グレードを開発したことを発表した。本開発材は、柔軟性・難燃性・高耐熱性を同時に備える世界初のPPS樹脂であり、PFASフリーであることに加えて、フッ素樹脂と比較して低コスト化が可能である。過酷な高温環境下で使用される冷却配管をはじめ、継手、固定・保護部品、電装部材などでの採用を見込み、部品点数の削減や工程簡略化にも貢献できる素材である。
近年、xEVやデータセンターの急速な普及により、冷却系部材や電装部材に求められる性能の高度化、多様化が進んでいる。従来、市場ではテフロン等のフッ素系樹脂が用いられてきたが、昨今のPFAS規制強化や、それに伴う原料調達リスクを回避するため、代替素材への要望がますます高まっている。また、オレフィン系エラストマー配合の当社柔軟PPS樹脂は、軽量性・成形性を活かした幅広い用途で使用されてきたものの、フッ素系樹脂に相当するレベルでの柔軟性・難燃性・耐熱性すべての両立には至らず、これらを同時に付与することが技術的な課題であった。
本開発材は、同社独自の革新的微細構造制御技術NANOALLOYを活用し、エラストマーに代わる新規柔軟成分をPPSポリマーに微分散化することで、従来の柔軟PPS樹脂では到達できなかった難燃性(UL94規格におけるVー0相当)と、耐熱性、軽量性を高いレベルで保持することに成功した。
2026年1月より、バッテリー周辺部材や半導体製造装置部材用途などにおいて、顧客向けに有償サンプルの提供を開始した。2026年度中に量産体制を構築するとともに、PFAS規制への対応と高機能化を両立しつつ、既存の設計技術が適用可能な次世代材料として、xEVやデータセンターの冷却配管、固定具、バッテリーやインバータの周辺部材、さらに産業配管や結束部材など、高温・高信頼性が求められる幅広い用途に展開していくとしている。
