出光興産がINERATEC社に出資 合成燃料の供給体制を構築

2025年11月11日

ゴムタイムス社

 出光興産は11月7日、出光CVCを通じて、INERATECに出資したと発表した。INERATEC社は、革新的なFT合成技術を有し、大規模な設備を必要としない小型モジュールにより合成燃料を製造・販売するスタートアップ企業となる。
 同社は今回の出資を通じ、FT合成と小型モジュールによる合成燃料の製造技術や知見を獲得する。これにより、原料供給・製品需要の状況に柔軟に対応できる合成燃料の供給体制の構築を検討する。
 合成燃料には、さまざまな種類と製造プロセスがある。同社は、合成燃料の一つであるeーメタノールを戦略的に重要な製品として位置付け、早期の社会実装に向けた検討を進めてきた。eーメタノールは、需要拡大が見込まれる船舶燃料として利用できるほか、原料としてメタノール転換を行うことにより、合成ガソリンなど各種の合成燃料や合成化学品を製造することができる。
 このたび出資したINERATEC社は、同社がこれまで検討を進めてきたメタノールを用いた合成燃料の製造プロセスではなく、FT合成の革新的な技術を有している。一般的なFT合成プラントの場合、大型化に伴い合成燃料を製造する反応器内の温度が不均一になるため、反応効率が低くなる。一方、INERATEC社のFT合成は、独自のマイクロリアクター(小型反応器)や細かな温度制御などにより、反応効率を従来比で高めることに成功し、必要とされる合成燃料を効率よく製造することが可能となる。
 また、INERATEC社の技術は、広大な土地を必要としない小型モジュールによって合成燃料を製造できるという特徴も有している。小型モジュールで革新的なFT合成技術により高効率に合成燃料を製造することができるため、合成燃料の製造に必要な資源を豊富に調達できない需要地であっても、柔軟な供給体制を構築することが可能となる。
 同社は、出光CVCによる出資を通じたスタートアップ企業との連携で、革新的な技術やアイデアを活用し、新たな価値の創造や社会課題の解決に取り組む。

INERATEC社の小型モジュール

INERATEC社の小型モジュール

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