住友ゴム工業は8月29日、8月27日にAIソリューションを提供する米国のベンチャー企業であるViaductと、104百万米ドル(約153億円)で買収契約を締結したと発表した。
これまで両社は共同での実証実験を通じて、同社が保有するタイヤのセンシング技術「センシングコア」と、Viaduct社が保有するAI技術を組み合わせた新しいサービスの開発を行ってきた。
今回の買収により、10月から北米で販売を開始する企業や団体が所有する車両を運用・管理するフリート車両向け故障予知サービスをより効率的に推進するとともに、日本や欧州などグローバルでのサービス展開を加速させていく。
さらに、部品の交換時期をお知らせすることで車両故障の未然防止やメンテナンスの効率化、部品発注や作業指示などへサービス範囲を拡大させることで、タイヤ事業とのシナジーを創出していく。
両社は2023年に共同実証実験を開始し、2024年には出資により戦略的パートナーシップをより強固なものとして開発を進めてきた。このたび、事業のさらなる推進と拡大およびグローバル展開をより加速させるため、買収に至った。
10月から北米でサービスを開始するフリート車両向け故障予知サービスでは、フリート事業者が抱えるダウンタイムの削減やメンテナンスコスト削減といった課題の解決に加えて、走行時の安全性向上や車両の稼働率向上に貢献していく。
シリコンバレーに本社を構えるViaduct社は、車両や工場の膨大なデータを独自のアルゴリズムで解析することで、異常の早期発見や予測、さらには異常の原因を特定できる非常に汎用性の高いAI技術を保有している。既に大手顧客での実績も重ねており、今後は自動車分野にとどまらず、さまざまな分野への事業展開を視野に入れている。
同社は、センシングコアを中心としたソフトウェアソリューションにより、次世代のモビリティ社会の進化に貢献していくことを目標として掲げている。今回の買収により、Viaduct社が保有するAI技術と同社が保有するタイヤの知見およびセンシングコアとの融合を図ることで、新たな価値の創出を目指す。
同社では、CASE/MaaSに対応する高い安全性能・環境性能を実現するために、タイヤ開発および周辺サービスの開発コンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」を掲げている。その周辺サービスの中核を担う「センシングコア」を、タイヤ・スポーツ・産業品に次ぐ同社の主要事業の第4の柱として成長させていきたいと考えている。自動運転向けビジネスとともに、フリートマネジメントビジネスを中心とし、2030年に事業利益100億円以上を創出する事業へ成長させていく。
2025年09月01日
