住友化学、千葉工場でパイロット設備稼働 エタノールから直接プロピレン製造

2025年08月22日

ゴムタイムス社

 住友化学は8月20日、エタノールからプロピレンを直接製造する新規プロセスのパイロット設備を千葉工場袖ケ浦地区に新設し、稼働を開始したことを発表した。本プロセスは、石油化学産業の原料転換に大きく貢献しうる技術として、NEDOのグリーンイノベーション(GI)基金事業の助成を受けているものであり、同社は、本プロセスの実証を一層加速させ、30年代前半の事業化および他社への技術ライセンス供与を目指す。

 プロピレンは、現在、我が国では主に化石資源であるナフサを原料とし、基幹化学品として幅広い用途に用いられている。エタノールは、サトウキビやとうもろこし、非可食原料であるパルプなどのバイオマスから製造することができ、また近年では、可燃ごみから大量生産する技術の確立が見込まれるなど、サステナブルな基幹化学原料への転換が進む中、化石資源に代わる原料として期待が高まっている。

 同社が開発中の本プロセスは、エタノールを原料としてプロピレンを直接製造することが特長である。エチレン等を経由せず、一工程で目的物とするプロピレンを製造するため、低コスト化が見込める。また水素を副生する利点も有しており、バイオエタノールを原料とする場合は、バイオ由来の水素を得ることができる。
 今後、工業化に向けた各種データの取得を進めるとともに、本プロセスで得られたプロピレンを用いたポリプロピレンのマーケティング活動を幅広く行い、30年代前半の事業化および他社への技術ライセンス供与を目指す。

 同社は、石油化学関連事業について、環境負荷低減技術による価値創造に大きく舵(かじ)を切ることにしており、国内・海外における構造改革を進めると同時に、本件を含む技術ライセンス供与、触媒販売を強化している。また、2030年以降の新たなビジネスモデルとして、原料サプライヤーや製品ブランドオーナーを含めた資源循環のバリューチェーンを構築し、顧客でのCO2削減貢献量を収益化する「GXソリューション事業」の実現を目指している。
 同社は、これからも革新的な技術開発を通じて、持続可能な社会の構築に貢献していくとしている。

パイロットプラント外観

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