島津製作所は8月7日、同日にトリプル四重極型高速液体クロマトグラフ質量分析計「LCMSー8065XE」を国内外で発売すると発表した。
同製品は同社製のトリプル四重極(TQ)型液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS)の基本性能を引き継ぎながら、さらに感度と頑健性を向上させた。同社は同製品を主にPFAS分析向けに販売し、急速に需要が拡大するPFAS分析市場の深耕を図る。
PFAS(有機フッ素化合物)は、その撥水性や耐熱性、耐油性により、包装紙などの日用品から半導体などの工業製品まで幅広く使われている。一方、PFASは自然環境では分解されない「永遠の化学物質」として知られ、土壌や水源に残留したものは水質や生態系に影響を及ぼす。特に1万種以上の物質があるPFASのうちPFOSやPFOAは、がんや内分泌かく乱などの健康リスクを高めるため、国際的な関心が寄せられている。
アメリカでは各州が厳格な規制を施行しており、EUでも2026年までに基準値の規制が強化される予定となる。特に飲料水中のPFAS許容基準は厳しく、ppt(1兆分の1)レベルまで検出限界の引き下げが求められるなど、年々拡大するPFAS分析市場において高感度で多成分一斉分析ができる分析機器の需要が高まっている。
「LCMSー8065XE」は、同社が誇る超高速測定技術である「UF Technologies」に、イオン源の改良や検出器の最適化を施したことで、感度性能を大幅に向上させた。PFAS分析メソッドや解析ソフトウェアを組み合わせたトータルソリューションを提供するほか、最新のユーザー支援技術によりラボと環境の負荷を低減する。
同社は同製品を通じて、社会価値創生領域と捉えるヘルスケアやグリーン分野における高感度PFAS分析ニーズに応えていく。
新製品の特長は、新開発された技術により、分析性能を大幅に向上している点、PFAS分析に必要とされるトータルソリューションを提供している点、最新のユーザー支援技術によりラボの運用効率を向上している点となる。
2025年08月08日

