島津製作所は7月23日、九州大学生体防御医学研究所の馬場健史教授とともに取り組んだ研究「超臨界流体法と液体法をインラインで一体化したユニファイドクロマトグラフィー」が第50回井上春成賞を受賞したと発表した。
「井上春成賞」は、大学や研究機関等の独創的な研究成果をもとにして企業が開発し製品化した、我が国の優れた技術について研究者および企業に対して贈られる賞となる。7月14日に、東京都千代田区の日本工業倶楽部会館にて贈呈式が行われた。
超臨界流体クロマトグラフィーは、超臨界流体を移動相として使うことで高速かつ高効率に化合物を分離する手法となる。
馬場教授と同社は、これまで限られた利用に留まっていたSFCを親水性化合物へ適用する技術の開発に取り組み、脂溶性と親水性ビタミンの一斉分析に成功した。その成果を基盤としてSFCと液体クロマトグラフィーを融合した拡張分離モードである「ユニファイドクロマトグラフィー」を世界に先駆けて提唱し、適用範囲をメタボローム解析や残留農薬分析などへも広げた。
さらに、超臨界流体抽出後、連続してSFCにより分離分析を行う超臨界流体クロマトグラフ分析・分取・抽出システム「Nexera UC」を開発した。
近年、食の安全確保や病気の早期診断の観点から、より速くより正確な分析が求められている。しかし、食品や血液が対象となる分析には煩雑な前処理が不可欠なほか、空気に触れただけで酸化や分解してしまう成分もあるため、正確な分析が困難だった。「Nexera UC」は、煩雑な前処理なく全自動かつ高速で分析できるシステムとして、幅広い性質を持つ成分の分析に貢献する。
同社は、今後も分析技術の事業化・製品化を進め、幅広い分野の研究開発を支援していく。また、産学官連携による研究開発を加速させ、先端技術の実用化と社会実装に向けた活動に力を入れて取り組んでいく。
2025年07月25日