三井化学が7月から新製品上市 高酸素透過性を有するウェルプレート

2025年07月02日

ゴムタイムス社

 三井化学は6月30日、同社が保有するユニークな素材と精密加工技術を組み合わせた高酸素透過性を有する細胞培養ウェルプレートInnoCellを新製品として、7月から上市すると発表した。
 InnoCellとは、細胞培養におけるイノベーション「Innovations in Cell culture」を実現する想いを込めた、同社の細胞培養製品・サービスのブランド名となる。同社は、「細胞培養から、世界を元気に。」の実現に向けて、化学のちからにより、創薬モダリティへのワンストップソリューションの提供に挑戦している。
 この度、細胞培養ウェルプレートとして、非接着性の細胞やオルガノイド、スフェロイドの培養に適した非接着表面(Nタイプ)および医薬品のスクリーニングに多用される肝細胞の培養に適したコラーゲンコート(Cタイプ)のプレートの販売を開始する。
 InnoCellプレートシリーズは、体外での細胞培養において、各々の細胞に適した酸素供給を実現できる。その機能により、長期間、元気な細胞を体外で培養できるうえ、スフェロイドの内部で起こる壊死を軽減できるため、正確な医薬品のスクリーニング結果の提供に期待されている。
 また、これまで体外で培養が難しかった、ヒト膵がん患者由来オルガノイドの増殖性の向上により、個別化医療における患者に適した医薬品の早期提供の可能性も期待されている。
 さらに、プレートへの薬剤の吸着性が低く、ガラスに匹敵する蛍光観察性能を備えている。試験に供した薬剤が正確に細胞へ作用し、細胞の構造、機能などが可視化できる価値も認められている。
 今後、InnoCellが、創薬モダリティ、個別化医療および再生医療の社会実装に貢献することを目指して、有効性や安全性評価、人工多能性幹細胞(iPS細胞)および患者由来のがん細胞への適用事例を検討している。InnoCellは、いのちと健康、豊かなくらしに貢献するため、細胞培養に革新的なソリューションを提供していく。
 同社は、メディカル領域を第3の柱として育成すべく、同社の技術基盤の活用とパートナーとの連携強化による技術革新を推進し、ユーザーの多様なニーズに応えるための取り組みを続けていく。

ヒト膵がん患者由来オルガノイドの増殖試験

ヒト膵がん患者由来オルガノイドの増殖試験

関連キーワード: ·

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー