デンソーら6社が協議会設立 自動車の再生材利用を拡大

2025年07月02日

ゴムタイムス社

 デンソー、東レ、野村総合研究所、本田技研工業、マテック、リバーは6月30日、使用済み自動車(ELV、EndーofーLife Vehicles)の自動精緻解体を起点としたCar to Car実現のため、6社が発起人となり、動静脈が融合したバリューチェーンの構築を目指す「ブルーリバース協議会」を設立したと発表した。
 近年、自動車産業では、持続可能な社会の実現に向けてサーキュラーエコノミーへの転換が求められており、再生材の大幅な利用拡大による天然資源の消費削減が大きな課題となっている。しかし現在、ELVを破砕した後に材料を選別する手法が世界では主流であり、高純度の再生原料の確保が極めて難しい状況となる。
 また、これまで動静脈の連携が十分ではなかったことから、高い品質基準と十分な供給量の両立が求められる自動車の材料として、再生材を用いるための取り組みが進んでいなかった。
 加えて、自動車リサイクル産業では、自動化・デジタル化の推進や、職場環境の整備による人手不足の解消が求められている。
 今回設立したブルーリバース協議会は、これらの課題に挑戦し、2035年に向けて自動車リサイクル産業を、自動車産業における資源循環型の新たなバリューチェーンの一翼を担う「再生原料製造業」へと進化させ、Car to Carの実現を目指す。
具体的な取り組みとしては、動静脈が融合したバリューチェーンの構築に向けて、ELVの自動精緻解体を起点に、参画企業や研究機関などと議論や調査を行い、技術開発や実証実験を重ねるとともに、関係企業や団体への提言なども進めていく。
 自動精緻解体は、AIやセンサー技術によって、変形した部品に対しても最適な経路でロボットが動作するなど高度に知能化されたシステムであり、従来の手法では達成困難な再生材の質と量の確保につながるだけでなく、人手不足の抜本的な解決にも貢献する。また、生み出された再生原料は、素性や環境負荷情報をデジタルプラットフォーム上に記録して動静脈で共有することにより、高信頼な再生材の安定供給が実現できる。
 6社は、自動車リサイクルにおける再生材の利用拡大とともに、Car to Carに向けた動静脈融合によるバリューチェーンの構築に取り組むことで、自動車産業のサーキュラーエコノミー実現に貢献していく。

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