日本ゴム工業会は6月6日、経団連会館で第35回幹事会を開催した。幹事会ではゴム製品の生産および輸出入動向、労務委員会関係事項などが報告された。幹事会の前に25年度定時総会が行われ、山内孝夫氏(ヤマウチ社長)が幹事に追加選任、福田正彦氏(丸五社長)が幹事に補充選任された。
幹事会に先立ちあいさつに立った清水隆史会長(TOYO TIRE社長)は「私が会長に就任した3年前の22年は、2月にロシアによるウクライナ侵攻があり、同年3~5月にかけて中国で新型コロナウィルスの感染拡大を受け、ロックダウンが行われ、供給制約やサプライチェーンの混乱が生じ、対応を迫られた年だった」と振り返った。
清水会長は「25年度の今年は米国でトランプ第2次政権が発行した相互関税により、世界経済は混迷を深めている。トランプ関税をめぐる各国の交渉はまだ決着しておらず、世界経済への影響を想定することはできない。当会で実施している中小会員企業を対象とした景況調査の結果をみると、25年4~6月期は業況判断は改善しているものの、売上高と営業利益はともに悪化の予測となっている。人件費が上昇する一方、トランプ関税により自動車産業を中心とした対米輸出の減少と世界的な景気後退に対する懸念が強まっていることが背景にある」と述べた上で、「現下の世界情勢を前にすると環境課題の解決、すべての人々の人権を通じた、持続可能な社会の達成という、SDGsの理念は後退し、代わって世界に分断をもたらす反グローバリゼーションがメインストリームになりつつあるように思うかもしれないが、世界の安定と平和にとって、誰一人取り残さないSDGsが大切なことに変わりはない」と話した。最後に清水会長は「われわれゴム製品製造業はグローバリゼーションが再びメインストリームになるときに向けて準備を怠ってはいけない。激動の時代にあっても、常に原理原則に立ちかえり、変わらない価値を追求する姿勢が必要だ。不確実な時代だからこそ、不変の価値を持つゴムの可能性を追求し、革新的な製品を提供することで、企業として、業界として社会的責任を果たすことが求められている」などと述べた。
原油価格 平均約67・5ドル
資材関係事項
◆原油価格の推移
25年の原油相場の平均は、WTI(ニューヨーク先物相場)は