家庭用・産業用手袋の専業メーカーのショーワグローブは、24年10月25日に坂出事業所の開所式を開催した。坂出事業所は所在地は、香川県坂出市番の州町18番7。敷地面積は約9万7000㎡、工場面積は約1万7000㎡、ライン本数は5本、生産能力は360万枚/日(11億8800万枚/年)となっており、国内消費量の6%を補う。
なお、同事業に関する投資額については約150億円(うち補助金55億円)となっている。
同社では、ニトリルゴム製使いきり手袋の国内安定供給体制の構築と、感染症対策の強化に貢献することを目指す。令和2年に経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」に採択され、また、香川県企業誘致条例に基づく助成措置対象企業にも指定されている。
現在、ニトリルゴム製使いきり手袋については、その需要の全量を海外からの輸入に依存しており、国内の需給率はほぼゼロとなっている。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を背景に、医療機関や介護施設などにおける衛生管理の重要性が改めて認識されるなか、マスクとともに手袋の供給不足は深刻な社会課題となった。同社はこの状況を打開し、感染症対策に必要な物資の安定供給体制を構築すべく、国内でのニトリルゴム製使いきり手袋の生産工場設立を決定し、坂出事業所の開所の準備を整えてきた。
坂出事業所では、生産から梱包、入庫までの工程をほぼ無人化することに成功した。使いきり手袋のような、柔らかく変形しやすい製品の自動集積・梱包については、製造現場における長年の課題となっていた。形状が安定しないため、機械によるハンドリングが難しく、どうしても人手に頼らざるを得ない工程になっていた。ただ、同社は、長年の経験と独自の技術開発により、この難題を克服。不定形な手袋を適切に整え、所定の数量を正確に小箱へ梱包する自動化システムを構築した。
これにより、衛生的、人手不足の解消、生産効率の向上の3つを実現した。また、環境面では、顧客は国内調達が可能になったため、輸入品と比べると大幅に輸送距離が短くなり、輸送におけるCO2削減も見込めるとしている。
2024年10月28日