タイヤ摩耗検知システム開発 住友ゴム、村田製作所と共同で

2024年04月12日

ゴムタイムス社

 住友ゴム工業は4月10日、村田製作所と、タイヤ形状を三次元でとらえて摩耗を検知し、ユーザーへデータでフィードバックするタイヤ摩耗検知システムを共同開発していることを発表した。同システムは、2025年より順次DUNLOP直営店(タイヤランド)にて実証を開始する予定。
 一般的に、タイヤの摩耗確認では、専用のツールを用いて人が主溝の深さを計測するため、緻密な計測値を要する場合では計測条件などにより誤差が発生することがあった。またタイヤの偏摩耗については、主に目視での確認で判断し、作業者の熟練の程度により正確性を高めていた。そこで同社と村田製作所は、タイヤ摩耗をセンサーで見える化しユーザーに数値でフィードバックする摩耗検知システムの共同開発を2021年9月から開始した。
 同社のタイヤメンテナンスおよびタイヤ開発に関する知見と、村田製作所の通信市場で培った三次元計測によるセンシング技術や自動車市場における技術的知見を融合させることで、摩耗データを高精度かつ三次元で計測する技術を確立し、幅広い使用環境や車両・タイヤに対応可能な摩耗検知デバイスを開発した。同システムは、スマートフォンのアプリケーションを用いて摩耗検知デバイスでタイヤをスキャンし、タイヤ表面データをアルゴリズムで解析することで、タイヤ摩耗を三次元で正確に把握することが可能になる。ユーザーには、3段階でタイヤ各主溝の摩耗状態が表示されるとともに、偏摩耗があった場合にはその位置がフィードバックされる。トラック・バス事業者が抱える課題として、2024年問題や脱炭素が挙げられるように、近年コスト低減や環境経営への需要は益々高まっている。同社では、この実証を通して、摩耗・偏摩耗の傾向からタイヤ交換やローテーション時期を予測し、計画的なメンテナンスにより車両稼働率の向上に繋げることができると考えている。また、摩耗したタイヤ表面のゴムを貼り替えて再利用する省資源なリトレッドタイヤにおいても、ローテーションなどの適切なタイヤ管理によって、土台として利用できる質の高い台タイヤが増えることでリトレッド回数の向上が期待される。
 さらに同社では、CASE/MaaSに対応する高い安全性能・環境性能を実現するために、タイヤ開発および周辺サービスの開発コンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」を掲げている。その周辺サービスの中核を担う「センシングコア」において、同システムによる高精度な摩耗データの収集は、タイヤの摩耗検知技術の精度向上およびさらなる機能やサービスの開発に繋がると期待している。

システムイメージ

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