三洋化成、構造改革を加速 SAP事業から撤退決定

2024年03月26日

ゴムタイムス社

 三洋化成は3月25日、同日開催の取締役会で、高吸水性樹脂(SAP)事業および中国江蘇省南通市で行う界面活性剤やウレタン樹脂製品等の生産から撤退すると発表した。今回本事業撤退の意思決定に伴い、事業構造改革損失として24年3月期から複数年度にわたり総額約200億円の特別損失を計上(24年3月期には約120億円)する見込み。同社は、同決議に基づき連結子会社である三大雅精細化学品(南通)有限公司(SDN)は、全持分譲渡の検討を行う一方で、同事業に関連する連結子会社であるSDPグローバル、SDPグローバル(マレーシア)、ならびに三洋化成精細化学品(南通)有限公司(SKN)は解散の手続きを行うこととした。
 生産停止や解散時期は次の通り。三大雅精細化学品(南通)有限公司は24年度中の異動(持分譲渡)を検討。SDPグローバル(マレーシア)と三洋化成精細化学品(南通)有限公司は24年3月末で生産を停止し解散する。SDPグローバルは24年度中に生産を停止し、解散する。
 SAP事業撤退およびSDN持分譲渡ならびにSDP、SDPMの解散検討の理由は、同社は1978年に世界で初めてとなるSAPの商業生産を開始して以降、世界的な紙おむつの普及に伴うSAP事業拡大してきた。しかし、近年はアジアにおける紙おむつ市場の拡大に伴い、SAPメーカーの新規参入が相次いだことで供給過剰の状況となり、SAP市場の競争環境が厳しくなっている。
 また、新規参入メーカーの技術レベルが向上し、SAPは品質による差別化を訴求することが困難な汎用製品となったことで、同社のSAP事業の収益性は急速に悪化している。同社はSAP事業の厳しい競争環境を鑑み、数年にわたりSAP事業の協業を含めた事業再構築や事業売却などのあらゆる可能性の検討を進めてきたが、収益性悪化からの回復が見込めないっため、SAP事業から撤退を決めた。
 界面活性剤やウレタン樹脂製品等を製造販売する子会社のSKNは、中国市場における汎用化学品の製品競争力が低下していることで、構造改革を加速するため、SAP事業からの撤退に併せて24年3月に生産を終了し、その後解散に向けた手続きを進めていく。SKNで生産してきた界面活性剤、ウレタン樹脂製品等は、その他の同社グループの生産拠点からの供給へと切り替えを進めるとともに、一部製品は、同業他社へ代替製品の供給を検討していく考え。
 なお、当社の他生産拠点で生産をしている高付加価値製品群は、中国の販売子会社を通じて引き続き中国市場での拡販に注力していく。

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