三井化学が日本初実現 バイオ&サーキュラークラッカー

2024年03月25日

ゴムタイムス社

 三井化学は3月22日、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、CFPより調達した廃プラスチックを原料とした熱分解油(廃プラ分解油)を、2024年3月に同社大阪工場(大阪府高石市)のクラッカーへ投入し、マスバランス方式によるケミカルリサイクル由来の誘導品(化学品・プラスチック)の製造・販売を開始したと発表した。
 マスバランス方式とは、「原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料やリサイクル由来原料)がそうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法」。バイオマス・リサイクル社会の実現に向けて、マスバランス方式は重要な役割を果たすと考えられる。
 今後、同社グループは認証制度として欧州で広く採用されているISCC PLUS認証に基づき、マスバランス方式によるケミカルリサイクル製品を市場展開していく予定。
 廃プラ分解油は石油由来ナフサやバイオマスナフサと同様、炭化水素油であり、それらをクラッカーに投入することで、エチレン、プロピレン、C4・C5留分、ベンゼンといった基礎原料を製造する。得られた基礎原料を基にフェノールなどの基礎化学品、ポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチックを製造するため、誘導品(化学品・プラスチック)の物性は既存品(バージン品)と同等となる。
 同社は同取り組みと2021年12月にクラッカーへ投入開始したバイオマスナフサ活用の両輪で、石化原料からの原料転換を進め、日本初のバイオ&サーキュラークラッカーを実現し、サステナブル(持続可能性)を超えたリジェネラティブ(再生的)社会の実現に向けて貢献していく。
 また同社は、花王が関与した廃プラスチックを原料とし、CFP及びプライムポリマーの協力の下、リサイクルプラスチックとして製造し花王製品に使用するケミカルリサイクルによる循環型スキームの実装に向け共同検討を開始する。

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