東レ、絶縁樹脂材料新開発 次世代半導体パッケージ採用へ

2024年03月21日

ゴムタイムス社

 東レは、半導体やディスプレイ向けの絶縁樹脂材料として事業を展開しているポリイミドコーティング剤(セミコファインおよびフォトニース)をベースとし、ハイブリッドボンディング(微細接合)に対応した新規絶縁樹脂材料を開発した。 同材料は従来のポリイミドコーティング剤と、当社の有する加工や接合技術を融合したもので、金属電極を形成した半導体チップ同士を接合するハイブリッドボンディングプロセスの収率と半導体デバイスの信頼性を向上させることが可能。今後、試作や顧客へのサンプル提供を進め、2025年の材料認定、2028年の量産を目指す。同社は開発材料を、半導体デバイスや電子部品に適した各種樹脂製品に新たにラインナップに加え、高速通信機器やサーバー用途への活用が期待される高性能な次世代半導体パッケージなどでの採用を目指す。
 近年用いられる高性能パッケージング技術の代表的手法の一つに、半導体チップを縦積みする3次元実装がある。その中でも特に、バンプピッチ(半田で接合された隣り合う電極間の間隔)が10μm以下の微細構造を必要とする高性能半導体チップでは、ハイブリッドボンディングと呼ばれる接合技術の適用が期待される。
 同社では20μm程度の微細バンプピッチ有する3次元実装において、チップ間の樹脂接合材料を販売しているが、ハイブリッドボンディングは従来の3次元実装技術とは異なり、バンプを用いずに金属配線同士を直接接合させ、配線距離の更なる短縮が可能となる。
 ハイブリッドボンディングは、異種チップの高密度実装のため、ウェハ基板の一方をチップサイズに加工した後に、もう一方のウェハ基板に貼り合わせるC2W(Chip to Wafer)の実装方式が注目されており、絶縁材料としては二酸化ケイ素(SiO2)などの無機材料が適用されている。しかし、C2Wの適用では現状主に二つの課題がある。
 一つ目は、チップに加工する際のダイシング工程で生じるシリコンダストをハイブリッドボンディング時に噛み込んでしまい、チップの接合不良を起こし歩留まりが低下すること。二つ目は噛み込んだシリコンダストが半導体パッケージの信頼性を損なうリスクとなることである。
 同社は、長年蓄積してきた機能性プラスチックの設計技術を駆使し、精緻な分子設計と極限追求により、高耐熱性、高機械物性有する絶縁樹脂材料(ポリマー)を用いて、シンガポール科学技術研究庁における半導体分野の研究機関であるIMEとの連携によりハイブリッドボンディングの実験実証を2020年から進めている。IME含めた半導体関連各社との連携により、同材料をC2W方式のハイブリッドボンディングに適用することで、異種チップを一つのパッケージに実装するチップレットの歩留まりと信頼性向上を目指す。

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