速硬化型シリコーンレジン開発 信越化学、業界初乳化剤不使用

2024年03月18日

ゴムタイムス社

 信越化学工業は、業界初(同社調べ、24年2月時点)の乳化剤を使用しない水系の速硬化型シリコーンレジン「KRW-6000シリーズ」を開発した。シリコーンレジンは、耐候性や耐熱性などの優れた性能を有することから、塗料やコーティング剤などの用途に使用されている。近年は水系シリコーンレジンへの期待が高まっている。
 従来の水系シリコーンレジンには、乳化剤が使用されている。乳化剤が添加された水系の製品を有機溶剤系のシリコーンレジンと比較すると、皮膜特性が劣る傾向がある。また、乾燥と硬化に時間を要するという課題があった。そこで今回開発した「KRW-6000シリーズ」は、乳化剤を使用していないために、皮膜特性が良好で、加熱により速硬化も可能となっている。
 KRW-6000シリーズの主な特長は、①乳化剤を使用しない水分散型シリコーンレジン(乳化剤を使用していないため、耐水性に優れた皮膜を形成。また、硬化後はシリコーンのみの無機皮膜となるため、長期にわたり耐久性、耐候性に優れている。このため、耐候性塗料のバインダーや各種添加剤に適している)。
 ②有機溶剤非含有でVOCフリー化に貢献(有機溶剤を含有していない水溶媒タイプで、硬化反応で発生する物質も水のみのため、VOCフリー化に貢献する。また、水が蒸発することでタック感のない皮膜を形成するため、作業性にも優れている)。
 ③低温、短時間で速硬化が可能で温室効果ガス削減に貢献(室温で硬化が進行することに加え、80~150℃程度の加熱を数分間行うことにより硬化が促進される。従来の有機溶剤系シリコーンレジンに比べ、低温、短時間で硬化が進行するため、温室効果ガスの削減に貢献する)。
 ④高硬度の皮膜を形成(最高硬度4Hの高硬度の皮膜の形成が可能です。また、皮膜がより柔軟なタイプも取り揃えている)。
 同社は、これまで培ってきた技術力とノウハウを生かして付加価値の高いシリコーン製品を開発・供給することで顧客のさまざまな課題解決に努め、持続可能な社会の実現に貢献していく。

耐候性塗料のバインダーへの応用

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