旭化成、微小金属検査システム開発 ミリ波やマイクロ波帯技術使用

2024年03月13日

ゴムタイムス社

 旭化成は3月12日、ミリ波やマイクロ波帯の技術を用いて、食品、医薬、半導体、石化、電子材料などの製造ラインを流れる対象物(粉体、液体(水を除く)、繊維、フィルムなど)に含まれる微小金属の検出が可能なシステム技術を開発したことを発表した。
 同システムは、誘電率の変化に高い感度をもつ空洞共振器を用いており、一般に市販されている装置と比較して、フィルムであれば1/64の体積の微小金属粒子を、繊維であれば1/100の体積の繊維状微小金属を検出できる。
 微小金属の混入は工業製品の製造において重大な欠陥となり得る。従来のフィルム向けの磁気やX線などの手法を用いたインライン検査機であれば、直径200μm程度の大きさの金属微粒子の検出が下限であり、この検出下限が現状の検査機の課題となっていた。今後は同システムを用いることで直径50μmを検出下限とする微小金属の検出が可能になる。また、繊維中の検査には従来、マイクロ波ドップラー法が用いられており、その検出下限は直径3μm、長さ5mmであったが、同システムを用いることで直径1μm、長さ300μmの繊維状微小金属の検出が可能になる。
 空洞共振法による検知は、対象物上の微小金属が空洞共振器内に侵入したときに、微小金属による共振器内の電場の変化を共振周波数の変化として捉える仕組みとなっており、金属の透磁率の強弱に影響されないことが特徴。そのため、非磁性の微小金属に対しても高い検出感度を得ることが可能となる。
 同システムについては、さらなる性能向上の後、2026年内の製品化を予定している。
 また、2024年3月12日(火)~14日(木)に開催される「2024年度精密工学会春季大会学術講演会(3月14日C91,C92)」にて同開発に関する発表が予定されている。(「フィルム中の金属粒子を検出するマイクロ波帯空洞共振器」、「ミリ波空洞共振器を用いた金属粒子検知システムの開発」)。

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