年頭所感 日本プラスチック工業連盟 岩田圭一会長

2024年01月24日

ゴムタイムス社

 プラスチック業界では、INC(プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際条約の策定に向けた政府間交渉委員会)の動向が気にかかります。一部にはプラスチックの生産や使用に世界一律の規制をかけるべき、という主張が出ており、果たしてそれが世界にとって本当に良い結論なのか、疑問を感じざるを得ない議論になっています。
 当連盟としては、政府や関係業界団体・企業と連携を取りながら、問題の核心はプラスチック廃棄物の回収・適正処理が不十分な点であり、まずは世界的にその管理強化
を進めるべき、との主張をしているところです。
 同連盟においては、24年度が4ヵ年計画の最終年度となります。4ヵ年計画の中で、最重点実施項目として①プラスチック資源循環戦略の強力な遂行、社会実装化、②プラスチックのイメージアップ、③規格における日本からの主体的・積極的な主張発信、の3つをあげています。①の資源循環戦略については、4つのワーキンググループを立ち上げて検討を進めてまいりました。マテリアルフローを公表し、それをベースに「2050年のありたい姿」としてリサイクル目標を立てたPS―WGなど、一定の成果を上げた案件がある一方、まだ協議が続いている案件もあります。これまでの検討結果を振り返り、ワーキンググループの活動結果の集約と整理を進めているところです。
 ②のイメージアップについては、広報活動の一環として昨年4月に当連盟ホームページを全面改定しました。その結果アクセス数は大幅に増加し、外部からのお問い合わせの際にはホームページを閲覧済みの方が増えており、プラスチックに対する理解が深まる一助になっていると感じます。また、今年は4年に一度実施している消費者のプラスチックに対するイメージ調査を実施する年です。前回の調査で著しく悪化したプラスチックのイメージがどう変化しているか、気にかかるところです。引き続きさまざまな広報活動によりプラスチックのイメージアップに努力してまいります。
 ③の規格関連については、一部web方式併用となりましたが、昨年のISO国際会議は4年ぶりの対面方式で開催されました。「プラスチックの機械的性質、物理・化学的性質等」(TC61)、「流体輸送用プラスチック管、継手およびバルブ」(TC138)合わせて日本から延べ88名が対応し、日本のプレゼンスを示し規格開発を進めることができました。今後もISO国際会議に委員を派遣し、具体的な規格の提案を進めてまいります。

岩田圭一会長

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