ミシュラン出資のシンビオ シンフォニーを落成

2024年01月17日

ゴムタイムス社

 日本ミシュランは1月16日、フォルヴィア、同社、ステランティスが共同出資する合弁事業のシンビオが、2023年12月5日、卓越した技術と産業の中心地となる同社初のギガファクトリー、SymphonHyを落成したと発表した。
 SymphonHy(シンフォニー) は、イノベーションと工業化の能力を有し、年間5万台の燃料電池システムの生産能力を備え、大規模生産に向け、顧客の低炭素輸送の推進をサポートする。
 シンフォニーは、IPCEI (欧州共通利益に適合する重要プロジェクト)プログラムの一環として欧州連合とフランス政府に支援されているHyMotiveの一部となる。このプロジェクトは強力なテクノロジーを開発するために10億ユーロを投じ、その存続期間中に1000人の雇用を創出する。
 ステランティスはシンビオから燃料電池の供給を受け、ヨーロッパですでに展開している中型バンのみならず、北米市場向けの大型バン、ピックアップトラック、大型トラックなど、水素モビリティの提供を持続的に拡大する。
 オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方のサン・フォン(ローヌ圏)にあるシンフォニーは、欧州最大の統合型燃料電池生産拠点であり、技術および産業のリーダーたるシンビオの役割を裏付けている。敷地内には同グループの本社、生産工場、比類ない規模のイノベーション拠点、そしてシンビオ水素アカデミーを有している。最先端のテクノロジーを備えたシンフォニーは、高レベルの自動化とロボット化により、競争力のあるコストで大規模な生産を実現している。
 これらの開発は、競争力のある高性能水素燃料電池の生産を可能にし、モビリティの推進を加速する鍵となる。またエネルギーの転換と、ネットゼロへの移行というヨーロッパ社会の大志の実現に貢献する。
 シンフォニーの現在の生産能力は年間1万6千台、2026年までに5万台に増産、現在の敷地面積は2万6千㎡、2026年までに4万㎡に拡大、7千㎡の研究開発専用スペースと、ISOクラス8認証で、8千㎡のクリーンルームを保有、単一で世界規模のイノベーションセンターに、100名の専任研究開発者、幅広い分野 (電気化学工学、化学、材料科学など) をカバーする博士号取得者20名を含む450名以上のエンジニアが集結している。エネルギーを自給自足し、BREEAMの認定基準「Outstanding」の取得サイトとなる。
 シンフォニーにより、シンビオはパフォーマンスに妥協のないゼロエミッションの水素モビリティを手頃な価格で実現できるよう顧客をサポートすることができる。
 30年以上の経験、株主や自動車業界のリーダーからのサポート、600万kmに及ぶ路上テストにより、シンビオは独自の専門知識を蓄積してきた。同グループは、オンロードの軽および中距離商用車、トラック、ピックアップトラック、バス、大型バス、小型建機及びフォークリフトまで、効率的なゼロエミッションモビリティのためのパワー、耐久性、自律性のすべての要件を満たす幅広い製品ポートフォリオを提供している。
 シンビオはシンフォニーを活用することで、輸送のパイオニアである顧客へ水素燃料電池のさらなる導入計画をサポートすることができる。
 世界有数の自動車メーカーの1つであり、シンビオの共同株主でもあるステランティスは、プジョー e―エキスパート、シトロエン e―ジャンピー、オペルビバロ―eモデルといった小型商用車用のゼロエミッション水素ソリューションを初めて販売した企業となる。同社は、中出力アーキテクチャを備え、航続距離が最大500km、充電時間が10分未満である大型バンにも対応できるような製品ラインナップを拡大している。ステランティスは、積載量を犠牲にすることなく、ALVW 320マイルまたはGCWR 200マイルの航続距離と迅速なタンク充填を備えた車両のポートフォリオを電動化するという目標に沿って、Ramブランドのピックアップトラック用の水素技術を開発する計画を固めた。これらの車両にはすべてシンビオ製の燃料電池が搭載する予定となる。

オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方のサン・フォン(ローヌ圏)にある「シンフォニー」全景

オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方のサン・フォン(ローヌ圏)にある「シンフォニー」全景

ゼロエミッション水素モビリティのあらゆるニーズに応える水素燃料電池スタックパックH2モーティブシリーズ

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水素燃料電池システム生産ライン

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