年頭所感 日本ホース金具工業会 蜷川広一会長

2024年01月02日

ゴムタイムス社

 昨年はコロナ感染に伴う行動規制が緩和され、社会経済活動の正常化が進みました。その一方で、ウクライナ問題の長期化や新たに発生した中東の地政学リスクで国際的な政情不安がさらに深刻化しています。これに伴い原油価格の高騰が懸念されており、現状の課題である原材料価格の高騰、物価高、円安、人手不足なども含めて、国内の取り巻く環境は依然として厳しい状況です。
 2023年7~9月期の実質GDP成長率は、前期比0・7%減(年率換算2・9%減)でした。長引く物価高が、コロナ禍からの回復を目指す日本経済の足かせとなったことが主な要因のようです。
 23年11月の内閣府の月例経済報告では「雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。」と先行きを予見しています。
 大手需要先である建設機械(本体合計)は、1~10月累計で国内が前年同期比11・4%増、輸出が同24・1%増、合計が同20・0%増でした。直近の10月は、国内が15・6%増と16ヵ月連続の増、輸出は8・1%増で36ヵ月連続の増加、合計では10・3%増で36ヵ月連続の前年同月比プラスとなりました。
 工作機械の1~10月受注額は、国内が前年同期比21・2%減、輸出が同13・6%減、合計は同16・3%減で10カ月連続マイナスとなりました。国内は全11業種中10業種が前年同期比を割っており、輸出は欧州向けが前年同期比1・7%増(構成比23・1%)、アジア向けが同24・1%減(構成比42・4%)、北米向けが同8・4%減(構成比31・8%)となっています。
 さて、当業会の需給状況ですが、23年1~10月の出荷実績は554億円(前年同期比105%)となっています。内訳は産業用ゴムホースが434億円(前年同期比106%)、自動車用ゴムホースが34億円(同108%)、樹脂ホースは62億円(同101%)、付属金具は25億円(同101%)でした。
 今年は、依然として続く国際政情不安による原油・原材料高、物価高、人手不足と先行きの不透明感が漂う状況には変わりないものの、これらの課題を体質改善の好機と考え様々な問題を克服し、上昇の良い年になることを祈念しております。
 当工業会の昨年度の事業活動ですが、例年通りホース及び継手関係のISOの審議に積極的に参画して参りました。
 ISO/TC45(液圧用ゴムホース及びプラスチックホース)関連では、昨年10月にタイでおこなわれた国際会議をはさみ4回の国内審議会が開催されました。
 ISO/TC131(油圧・空気圧システム及び要素機器)関連では、4回の国内審議会が開催されましたが、5月に開催されたアメリカでの国際会議は、ホース関連の議題がないので委員の派遣は見送りました。
 本年もTC45、TC131ともに国際会議が通常開催されますので、日本の考え方をISOに反映させて日本規格の国際化を推進する活動をさらに進めて参りたいと存じます。

蜷川広一会長

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