住友ゴムの新技術アクティブトレッド 水や温度でゴムが軟化 

2023年11月24日

ゴムタイムス社

 住友ゴム工業は11月16日、路面状況に応じて性能がスイッチする新開発のゴム技術「アクティブトレッド」について技術説明会を都内で開催した。
 アクティブトレッドは水や温度に反応して、ゴムが軟らかくなる素材開発技術。新開発の素材を使用したタイヤにより、濡れた路面や低温時にゴムが軟らかくなり、タイヤのウエットグリップ性能やアイスグリップ性能が向上する。
 説明会で登壇した同社の村岡清繁取締役常務執行役員は「アクティブトレッドの技術開発は弊社だけでは達成困難な課題もあったが、各方面の企業や大学と協業し、シミュレーション解析技術、素材開発や配合技術などを組み合わせることで乗り越えることができた。本日はアクティブトレッド技術説明を通し、弊社の商品開発の方向性や持続可能な社会の実現に向けた取り組みについて理解を深めて頂きたい」とあいさつした。
 技術説明を担当した同社の材料開発本部材料企画部長の上坂憲市氏は、アクティブトレッドについて「1つのタイヤであるにもかかわらず路面環境変化に応答して複数のタイヤ性能を有す、今までのタイヤにない全く新しい発想の技術になる」と紹介した。
 新技術は水に応答して滑りにくくなる「タイプウエット」と低温に応答して滑りにくくなる「タイプアイス」の水と温度をトリガーとする2つの技術から構成されている。
 「タイプウエット」では晴れの日と雨の日のブレーキ距離を同じにすることをターゲット性能とし、雨の日のドライバーの不安を解消することを目指した。
 従来のゴム素材では、不可逆で結合力の強い共有結合が使用されているため、ポリマー間は結合したままの状態であったが、可逆性のあるイオン結合をポリマーとポリマーの間やポリマーとフィラーとの間に導入することにより、水に触れると結合が乖離することを確認。これにより、水をスイッチとしてゴムの柔らかさを変化させることができるようになった。同社がゴムを水に浸した状態で硬さの変化を測定したところ、ゴムは2分で硬さが20%軟化、60分では34%まで軟化した。
 また、イオン結合は水で結合と乖離を繰り返すため、路面の状

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