セルロースファイバー複合樹脂 島津製作所が分析計測機器に採用

2023年11月22日

ゴムタイムス社

 島津製作所は11月21日、世界で初めて分析計測機器に、環境に配慮した機能性素材「セルロースファイバー強化難燃複合樹脂」を採用することを発表した。同樹脂は、巴川製紙所とエフピー化成工業が2020年に共同開発した「グリーンチップCMF」をベースに、同社が挙げた「難燃性の向上」という課題を3社で解決して創出したプラスチック。対象製品は、11月下旬から出荷する液体クロマトグラフ「Nexeraシリーズ」の構成ユニット15種類。
 「グリーンチップCMF」はセルロース繊維を配合できるため石油由来樹脂の使用を抑えられ、CO2削減につながるサステナブル素材。また、高い強度を持つため部材を薄く成型して製品を軽量にできる。ただし、分析装置などの電気機器は安全性の観点から外装や部材が燃えにくいことが望ましいものの、石油由来であるプラスチックや植物由来のセルロースは可燃性であり、それぞれの難燃性を高めることは困難であった。巴川製紙所、エフピー化成工業と同社は「樹脂とセルロースという燃えやすい素材を組み合わせながら、一定の強度も保ちつつ、難燃性能を付与した配合技術」を3年がかりで開発してきた。
 同社は液体クロマトグラフでの採用を皮切りに、その他の分析計測製品への「セルロースファイバー強化難燃複合樹脂」配合部材の水平展開および各製品のサステナブル素材使用比率向上を図っていく。今後も中期経営計画で掲げる「サーキュラーエコノミーへの移行」を実現すべく、石油由来プラスチックの使用量やCO2排出量を削減していく。

セルロースファイバー複合樹脂採用の液体クロマトグラフ

セルロースファイバー複合樹脂採用の液体クロマトグラフ

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