燃焼制御ソリューション導入 横川電機、波蘭ごみ焼却発電所に

2023年10月26日

ゴムタイムス社

 横河電機は10月24日、Yokogawa Poland(ヨコガワ・ポーランド)がポーランドのKrakowski Holding Komunalny (クラクフ市営会社)が運営するKrakow WTE plant(クラクフごみ焼却発電所)に、子会社で廃棄物・バイオマス発電や地域暖房の効率改善ソリューションを提供するDublix Technology(デュブリックス)の燃焼制御ソリューションのFuzEventを納品し、ごみ焼却量を2・5%(最大で年間5500トン相当)向上することに成功したことを発表した。効率改善と合わせ、有害ガスの排出を政府の基準値内に抑えたほか、ごみ焼却発電に必要な蒸気流量を安定させることで最大の電力と地域暖房を同市に供給する効果も得られている。
 クラクフごみ焼却発電所は、2016年に稼働を開始したポーランド最大の焼却発電所で、近代的な設計で良好に運営されてきた。年間24・5万トンの家庭ごみを処理する能力を有する。10万メガワット時/年の電力と、100万ギガジュール/年の熱を生産します。発電した電力は、ポーランド政府のGreen Energy認証を得て、政府の電力網に供給・販売されている。
 多くの近代的なごみ焼却発電所は、ごみを燃焼させたエネルギーで蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回転させることで発電する。ごみは成分が一定ではなく水分や密度が異なる。特に、近年、欧州の多くの都市では広域からごみを収集するため、より複雑になっている。他の発電用燃料と比較するとエネルギーが一定ではなく、優れた設計のごみ焼却発電所であったとしても、従来のPID制御だけで安定的に制御するのは難しいという課題がある。
 ポーランドをはじめ、ヨーロッパの多くの国ではごみ焼却発電所の収益改善には2つの観点がある。1つ目は各プラントの制約の中で、ごみの燃焼状態を安定させることで蒸気の発生量を一定に保ち、プラントが持つ能力を最大限に発揮して発電量を増加させること。2つ目はごみ焼却量に応じて廃棄物受取処理費用(gate fee)が支払われる仕組みがあるため、プラントの稼働率を上げ、ごみ焼却量を増やすこと。
 デュブリックスのFuzEventは、デュブリックスのプロセスノウハウを生かした独自の高度な制御技術に基づく高性能の燃焼制御ソリューション。プラントへの新たなセンサーの追加や、既存の制御システムの変更、高額な改修などを伴うことなく、既存の制御システムの一階層上に導入することができ、統合生産制御システムで一元管理できる。根本的な課題である「ごみの燃焼」にアプローチし、その燃焼を常に安定化させることで、プラントが持つ能力を最大限に発揮して生産する電力および地域暖房のエネルギー量を増加させるほか、焼却量を増やす。
 同プロジェクトでは、ごみ焼却発電所に熟知し、各種シミュレーションに長けた専門家が、実現可能性調査でごみの焼却量や発電量や地域暖房としての熱供給の試算などのコンサルティングを行った後、過去の運転データと熟練運転員の運転方法を解析したうえでFuzEventを導入した。その結果、発電量が増え、かつ、ごみ焼却量が2・5%最大で年間5500トン相当)増加した。

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