クラレが発売開始 再生医療用のマイクロキャリア

2023年10月10日

ゴムタイムス社

 クラレは10月6日、再生医療用の細胞培養に向けたPVAハイドロゲル マイクロキャリアを開発したと発表した。
 2024 年 1 月より、国内および米国をはじめとする海外で発売する。
 同マイクロキャリアを細胞培養に使用するバイオリアクターに投入して足場材料とすることで、表面に細胞が付着・増殖し、大量の細胞を効率的に剥離回収できる。バイオリアクターの中で攪拌しても破損しにくく、安全性 や培養効率の高いマイクロキャリアとなる。
 同開発品は、2023 年10月11日から13日、パシフィコ横浜で開催される「再生医療 JAPAN」に出展する。
 近年、ワクチンなどのバイオ医薬品に加え、再生医療の市場拡大が見込まれる中、細胞の大量培養技術に注目が集まっている。
 一方、既存のマイクロキャリアは、バイオ医薬品製造が主な用途であり、再生医療用途で必要とされる細胞への異物混入の防止や幹細胞の増殖などに適した製品が少なく、今回の開発に至った。
  開発品の特長は、高い堅牢性と安全性、高い培養効率、優れた細胞観察性となる。
 弾性率の高い PVA ハイドロゲル製のため、バイオリアクターで強く攪拌しても破損せず、微細な破片や異物が発生しない。
 GMP(Good Manufacturing Practice、医薬品の製造管理および品質管理の基準)に準拠した 品質管理と安全性試験をクリアしている。
 細胞増殖性および細胞剥離性に優れ、酵素処理なしで必要な細胞を回収できる。そのため、再生医療用の細胞が、既存のマイクロキャリアに比べて効率よく培養できる。また、PVAハイドロゲルは培養液を吸収して膨張するため、ポリスチレンなどのマイクロキャリアと比較して、 使用量を削減することもできる。
 透明で高い光透過性を有するため、顕微鏡での細胞観察が容易となる。
 再生医療JAPANの開催日時は、2023年10月11日〜13日10時00〜17時00、会場は、パシフィコ横浜展示ホール、アネックスホール、ノース、ブース番号は、R-10となる。

PVA ハイドロゲルマイクロキャリア上の培養細胞の顕微鏡画像

PVA ハイドロゲルマイクロキャリア上の培養細胞の顕微鏡画像

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