【コラム連載シリーズ】世界のゴム事情76 インド編 加藤進一

2023年09月12日

ゴムタイムス社

 現在、インドの景気が良いようです。7月にインドに出張しました。EUはまだ経済が回復せず、インフレが進んでいます。中国は低迷どころか、不況の入り口です。不動産バブルがはじけ、EV車も値下げしないと売れない。中国の日系自動車生産は不調です。アジアも中国経済の減速のあおりを受け、春から調子が悪い。ただ、北米はインフレが進んでいますが、自動車生産は回復してきており、結構忙しい。
 さて、「日本は? 」と言えば、世界の中では日本のゴム産業の景気は比較的良いほうです。その世界の中で、インドの経済がどんどん発展しています。23年4~6月のGDPの伸びが7・8%になりました。

 また自動車販売台数も、今年は400万台を超え、暦年で日本を抜いて世界第3位になるかもしれません。
 ゴム産業も最近の自動車生産の発展に応じて、数量ベースで増えてきています。ここ数年タイヤの工場増設や増産が相次ぎました。カーボンブラック製造会社も増設を繰り返しています。インドのカーボンブラック生産能力は6社合計で年139万トンとなり、一方日本の生産能力は年67万トンですから、インドはすでに日本の2倍です。
 インドにはゴム成形会社や材料供給会社が約6000社あります。この数も日本の7倍ぐらいあります。インドのゴム人がよく言うのは、人口一人当たりのゴム消費量がまだまだ少ない。中国が6・5kg/年、世界平均が3・6kg/年に対して、インドは1・2kg/年とのこと。つまり、まだまだ増える余地が十分あるということです。

全文:約1762文字

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