三洋化成の子会社が開発 食品接触材法準拠の消泡剤

2023年08月22日

ゴムタイムス社

 三洋化成工業の子会社であるサンノプコは8月21日、各国の主要な食品接触材料関連法規に準拠した消泡剤「ノプタム 1790」を開発したと発表した。「ノプタム1790」は、食品接触材料を含む幅広い用途に適用可能なユニバーサル消泡剤で、高い消泡性と低ハジキ性を両立できることが特長となる。食品に接触する可能性のある紙製品用のコーティング剤に使用可能で、耐水・耐油性の付与や酸素・水蒸気バリアといったコーティング剤の機能を維持することができる。
 近年、使い捨てプラスチックを削減する取り組みが進められており、使い捨てのカトラリー、食器、食品包装容器などは、紙を使用する動きが強まっている。このような紙製品の表面には、内容物の水分や油がしみこまないための耐水性・耐油性や、内容物の鮮度を保持するための酸素・水蒸気バリア性などが、コーティングによって機能付与している。
 しかし、そのコーティングした塗膜に欠陥があると外観が悪くなるだけでなく、水蒸気などが塗膜の欠陥部分を通過するなどして、付与した機能が低下してしまう。
 塗膜欠陥が生じる一因は泡であり、混入した泡が塗膜表面で弾けることにより、くぼみやピンホールなどが塗膜上で生じる。そのため泡を抑制する目的で、コーティング剤には通常は消泡剤を配合している。また消泡剤には高い消泡性が求められるが、消泡性が高すぎると消泡剤そのものがコーティング剤の塗布・乾燥中にハジキの原因となることがあった。
 ハジキも泡と同様に塗膜欠陥の要因となってしまうため、消泡剤には高い消泡性だけでなく低ハジキ性も求められる。
 サンノプコは紙・パルプ、塗料、ラテックス、セラミックス、エレクトロニクス分野において消泡剤、分散剤、増粘剤、湿潤剤などの製造販売を行う機能化学品メーカー。1966年の創業当初から様々な消泡剤を上市し、界面制御に関する豊富な知識と経験で業界をリードしてきた。
 これまでの知見を活用し、消泡性と低ハジキ性を両立するよう組成設計した消泡剤「ノプタム1790」を開発した。また、幅広い国・用途に使用いただけるよう、「ノプタム1790」は「アメリカ食品医薬品局法規(FDA 21CFR)」、「中国食品接触材料規則(GB9865-2016)」、「欧州委員会規則(EUNo・10/2011)」、「日本食品衛生法」といった各国の食品接触材料関連法規に準拠した組成で構成している。
 また、近年安全性への懸念が生じている多環芳香族炭化水素(PAHs)についても配慮した設計を行っている。
 近年、安全な材料に対する意識の高まりや、産業のグローバル化の進展により、幅広い国・用途に汎用的に使用できる製品のニーズが高まっている。
 「ノプタム1790」は、サンノプコがこれまで培ってきた界面制御技術を生かし、消泡剤としての機能のみならず、用途を問わず使用できるように設計したユニバーサル消泡剤となる。各国の主要な食品接触材料関連法規に準拠しており、様々な分野の消泡剤としてグローバル化対応が可能となる。
 サンノプコおよび同社グループは、今後も、市場のニーズに応える高性能かつ環境負荷低減に貢献できる製品の開発を進め、持続可能な社会の実現に貢献していく。
 サンノプコの所在地は、京都市東山区一橋野本町11-1、代表取締役社長は、楡康治氏、事業内容は、紙・パルプ、塗料、ラテックス、セラミックス、エレクトロニクス用の各種工業用薬剤の製造販売、資本金は、4 億円(同社100%)、設立は、1966年、連絡先は、東京都港区西新橋1-1-1日比谷フォートタワー24階となる。

泡による塗膜欠陥

泡による塗膜欠陥

ハジキ・欠陥なし

ハジキ・欠陥なし

ハジキあり

ハジキあり

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