三洋化成、SPFブースター開発 米ぬか由来で環境にも配慮

2023年07月25日

ゴムタイムス社

 三洋化成工業は7月24日、日焼け止め製剤に配合することで紫外線防御機能を向上し、高い紫外線防御効果と心地よい使用感を両立して付与させることができる米ぬか由来のSPFブースター「コメファイン(開発品)」を開発したことを発表した。米ぬかは、精米の際に出てくる農業副産物で、こめ油の搾取や肥料、飼料に活用されているが、一部は産業廃棄物として処理されていた。「コメファイン」はそのような米ぬかをアップサイクルした環境にやさしい成分。日焼け止め製剤に高い紫外線防御効果や心地よい使用感といった機能面を付与することが可能で、特に環境訴求や植物由来原料配合をうたう日焼け止め製剤用原料として適している。
 紫外線(UV)はシワやたるみなどの光老化の原因で、UVケアクリームなどの日焼け止め製剤を使用して紫外線を防止することは、健やかな肌を保つための重要な対策の一つ。日焼け止め製剤には、紫外線防御を目的に、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤などの紫外線防御剤が使用されている。紫外線吸収剤は、紫外線エネルギーを吸収して無害な熱エネルギーなどに変換する有機化合物であり、紫外線防御効果は高いものの、人によっては肌への負担となったり、種類や使用量によってはべたつきの原因になっていた。一方、紫外線散乱剤は、物理的に紫外線を反射・散乱する無機成分で、紫外線吸収剤に比べ肌への刺激が少ないことが特長だが、細かい白色粉末のため、配合量を増やすと白浮きやきしむ感触の原因となる傾向があった。一般的に、高い紫外線防御効果を発揮するには、これらの紫外線防御剤を多く配合する必要があるため、高い紫外線防御効果と心地よい使用感の両立は困難だった。
 「コメファイン」は、紫外線散乱剤の分散性を向上させることができるため、日焼け止め製剤中の紫外線散乱剤の使用量を減少させることができ、白浮きやきしみなどを抑制することができる。また、紫外線吸収能があるとされる、米ぬか由来の天然のフェルラ酸を含有しており、日焼け止め製剤に少量配合することで、紫外線吸収剤の量を減らしても高い紫外線防御効果を達成することが可能。紫外線吸収剤の使用量低減は、肌への負担軽減にもつながる。このように、「コメファイン」は、日焼け止め製剤に高い紫外線防御効果と心地よい使用感を付与することが可能であり、植物を原料としているため、昨今のナチュラル志向の高まりに応えるだけでなく、廃棄されてしまっていた米ぬかをアップサイクルした素材であるため、環境負荷低減や地域産業の活性化に貢献できる。
 同社は今後も「コメファイン」のさらなる可能性を追求し、ニーズに合わせた新しい価値を提案していく。

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