積水化学、共同実証実験開始 ペロブスカイト太陽電池設置で

2023年03月28日

ゴムタイムス社

 積水化学工業は3月27日、JERAと、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を火力発電所に設置するための共同実証実験を、2023年3月24日から開始したと発表した。

 同社は、独自技術である「封止、成膜、材料、プロセス技術」を活かし、フィルム型ペロブスカイト太陽電池開発の肝といわれる屋外耐久性において10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築した。さらに、同製造プロセスによる発電効率15・0%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功しており、さらなる耐久性や発電効率の向上、1m幅の製造技術の確立に向けて開発を加速させている。

 JERAは、「JERAゼロエミッション2050」を掲げ、再生可能エネルギーと発電時にCO2を排出しないゼロエミッション火力によって、2050年には事業によるCO2排出を実質ゼロにすることに挑戦している。2025年には、自社の再エネの発電容量を5GWとする計画となっている。JERAは全国26カ所の火力発電所を保有しており、そのアセットを活用することで脱炭素化の課題を解決できると考え、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の設置に向けた同社との共同実証実験に取り組むことになった。

 JERAが保有する26カ所の火力発電所は全て沿岸部にあり、太陽光発電設備を設置するためには耐塩害性が必要になる。これに対し、3月24日、横須賀火力発電所(神奈川県横須賀市)と鹿島火力発電所(茨城県神栖市)にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を設置し、耐塩害性能と防汚性能、発電性能の実証を開始した。併せて発電所建屋の軽量屋根や壁面などへの設置方法の検証と各種法規制への対応を進め、小面積での設置・課題検証を経て、2025年以降に横須賀火力発電所への大規模設置を目指す。

 なお、火力発電所を対象としたフィルム型ペロブスカイト太陽電池の実証試験は、日本初の事例となる。

 両社は今後、同実証により火力発電所アセットへの再エネ導入手法を確立し、横須賀火力発電所をはじめ、JERAが保有する火力発電所への導入を順次進め、火力発電所の脱炭素化に貢献していくとしている。

 

実証実験の様子①

実証実験の様子①

実証実験の様子②

実証実験の様子②

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