インフラ商社特集 インフラ商社アンケート 23年売り上げは上昇を予想

2023年03月27日

ゴムタイムス社

 産業や生活など経済活動を営む上で不可欠な社会基盤として位置付けられるインフラストラクチャの略を示すインフラは、道路やトンネル、橋梁、下水道を始め、鉄道などの公共交通機関、移動体通信ネットワークなどIT関連などに提供される施設の総称を指す。
 これらインフラ施設では、多くのゴム・樹脂製品が使われ、我が国の産業の基盤づくりや公共交通機関の発展に貢献してきた。インフラ施設で使われる主なゴム・樹脂製品は、コンベヤベルトや搬送用ホース、防振ゴム、防舷材、ゴム支承、止水材、可とう継手、養生マット、排水管など多種多様に及んでいる。
 本紙では、インフラ施設で使われるゴム・樹脂製品を取り扱うゴム商社及び企業を対象にアンケートを実施した。アンケートでは、22年(22年度)の売上実績を始め、23年(23年度)の売上予想、インフラ商材の仕入価格などの項目を用意し、それぞれ回答を得た。
 22年(22年度)の売上実績(対前年比)の設問では、「横ばい」と回答した企業が約6割を占め最多となった。次いで「上昇」が約4割となり、「上昇」「下降」「やや下降」と回答した企業はなかった。22年度は21年度に比べ「横ばい」と回答した企業が大幅に増える結果となった。
 一方、23年(23年度)の売上予想の設問では「やや上昇」が約8割で最多となり、「横ばい」が約2割となった。「上昇」「下降」「やや下降」と回答した企業はなかった。
 また、23年(23年度)のインフラ商材に関する仕入価格予想(対前年比)の問いでは、全ての商社で「上昇」または「やや上昇」との回答となった。22年度に続いて、23年度も原材料価格の高騰がインフラ商材の仕入価格に影響を及ぼすものと考えられる。
 また、現在注力しているインフラ分野については「道路」「鉄道」と回答した企業が多く、次いで「上下水道」「港湾・ダム」となっている。
■社会資本の老朽化と現状
 ゴム・樹脂業界がインフラ分野に注目する理由としては、高度経済成長期(1950年代後半から1970年代前半)に建てられたインフラ施設の老朽化が進み、老朽化施設への対策が急務となっていることがある。
 国土交通省の資料によれば、建設後50年以上経過する道路橋(約73万橋、橋長2m以上の橋)の割合は、2020年3月時点で約30%だったのが、2030年3月時点には約55%と上昇する。トンネルも2020年3月時点の約22%から2030年3月時点で約36%になる見通しだ。ただ、インフラ施設の老朽化は、建設年度で一律に決まるのではなく、立地環境や維持管理などによって状況は大きく異なるだけに、老朽化するインフラ施設をいかに戦略的に維持管理・更新していくかが課題となる。
 また、国土交通省が21年6月18日に策定した「国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)令和3年度~令和7年度概要」では、予防保全への本格転換への加速化やメンテナンスの生産性向上の加速化、インフラストック適正化の推進等を通じ、持続可能なインフラメンテナンスの実現を目指すとしている。なお、計画期間内に取り組むこととしては、予防保全の管理水準を下回る状態にあるインフラに対しては、計画的・集中的な修繕などを実施し、機能の早期回復を図る。また、地方公共団体が適切かつ効率的なインフラメンテナンスを実施するために、新技術の開発・導入を促進するとしている。
 新技術の開発・導入に関しては、NETIS(新技術情報提供システム)などの活用による技術研究開発を促進することが大切。ゴム樹脂業界もインフラ施設の長寿命化に貢献する材料や工法を開発し提供していくことが求められている。

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