東レが経済産業大臣賞を受賞 インフラメンテナンス大賞で

2023年01月24日

ゴムタイムス社

 東レ株式会社は1月23日、東京電力パワーグリッド株式会社、株式会社安田製作所と共同で実施した「送電用鋼管鉄塔の部材腐食に伴う現場VaRTM 工法によるCFRP補修技術の開発」について、経済産業省より「第6回インフラメンテナンス大賞 経済産業大臣賞」を受賞したと発表した。
 今回の受賞は、送電用鉄塔の鋼管部材における内部腐食による穴あきや減肉箇所に対し、CFRPを用いて補強を行う本技術によって、取替工事に伴う特殊治具や特殊工法が不要となることで強度検討期間の短縮および工事費用を削減でき、さらに鉄骨建物など他のインフラにも応用可能なことで社会への波及が期待されることが評価された。
 インフラメンテナンス大賞は、国土交通省、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、防衛省が所管する施設について、日本国内のインフラのメンテナンスに係る優れた取り組みや技術開発に対し、各界の有識者による審査を経て、各大臣賞、特別賞、優秀賞が決定されインフラメンテナンスに関わる事業者、団体、研究者等の取り組みを促進し、メンテナンス産業の活性化とインフラメンテナンスの理念の普及を図ることを目的に、2016 年度から実施されている。
 今回東レは、東京電力パワーグリッドならびに安田製作所と共同で、電力分野における技術開発部門で「経済産業大臣賞」を受賞した。
今回の受賞内容は、経済産業大臣賞テーマ「送電用鋼管鉄塔の部材腐食に伴う現場VaRTM 工法によるCFRP 補修技術の開発」で、受賞者(共同開発)は東京電力パワーグリッド株式会社、株式会社安田製作所、東レ株式会社。受賞技術は、現場VaRTM 工法は、補修対象の既設鋼構造物の表面に当社炭素繊維シート「トレカ®ク
ロス」を配置し、その上からフィルムで被覆後、真空ポンプで真空状態を形成し、エポキシ樹脂を注入・硬化させて形成したCFRP と鋼構造物を一体化させる技術(特許取得済)。
 送電用鉄塔の鋼管部材において、経年による内部腐食が原因とされる穴あきや減肉が確認されており、鉄塔の強度を確保するため、従来、部材取り替えによる補修が実施されていたが、多大な労力とコストがかかっていた。このため、腐食減肉により取り替えが必要な鋼管部材へ現場VaRTM 工法を適用するための技術開発を共同で行い、新たなCFRP 補修技術を確立した。取り替え工事に伴う特殊治具や特殊工法が不要となり、強度検討期間・工事期間の短縮、および工事費用の削減が可能。
 実用状況と今後の展開については、現場VaRTM 工法は、国内では送電鉄塔、海外では海洋石油生産・貯蔵・積出設備(FPSO)などのインフラ施設で採用されている鋼材補修工法です。現在は鋼製橋梁や鉄骨建物等の補修補強へ水平展開を図るために、実用化に向けた開発を進めており、今後も、同社のトレカ®クロスが、国内外のインフラ施設の長寿命化・強靭化に大きく貢献できる技術の確立とバリュー・チェーン構築を目指していく。

インフラメンテナンス大賞受賞式

インフラメンテナンス大賞受賞式

経済産業大臣賞の盾

経済産業大臣賞の盾

VaRTM 工法

VaRTM 工法

上空での施工

上空での施工

現場でのVaRTM工法

現場でのVaRTM工法

CFRPの補修

CFRPの補修

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