GSM社を連結子会社化 DIC、バイオビジネス強化

2023年01月17日

ゴムタイムス社

 DICは1月16日、グリーンサイエンス・マテリアル(GSM社)の第三者割当増資により発行する株式を1月13日に引き受けたと発表した。これにより同社は、GSM社に対する持ち株比率を過半数以上に引き上げ、GSM社を連結子会社化した。

 GSM社は、日本固有の淡水藍藻類であるスイゼンジノリから抽出される多糖類である「サクラン」を世界で初めて商用化したバイオベンチャー企業で、サクランが持つ高い保湿性、抗炎症効果やバリア性などを生かして様々なスキンケア製品へ応用する事業を展開している。加えて、スイゼンジノリが唯一天然で生育・養殖されている黄金川(福岡県朝倉市)の保全活動にも積極的に取り組んでいる。

 同社は、サクランの安定供給や多用途展開を目指し、2021年にGSM社と資本業務提携を開始した。その後、両社は2022年8月に世界で初めて屋内での大量培養技術の確立に成功し、スイゼンジノリの試験的な生産を開始した。今回、これまでの提携が順調に進捗していることを踏まえ、今後藻類由来の機能性素材ビジネスで大きく成長する見込みがあるGSM社を連結子会社化し同社グループの一員に加えることで、連携を強化していく。

 具体的には、グループ間のシナジーを活かし、スイゼンジノリやサクランを日本発のオリジナル化粧品原料として同社グループの販売網を生かしてグローバル展開するとともに、新規アプリケーションの開発をより一層推進していく。また、これらの取り組みに加えて、スイゼンジノリの培養技術の知見や研究成果を、スイゼンジノリが唯一天然で生育・養殖されている黄金川(福岡県朝倉市)の保全や、GSM社が熊本県益城町で取り組む屋外養殖の事業拡大に生かす取り組みも積極的に進めていく。

 同社グループは、長期経営計画「DIC Vision 2030」で掲げた「Quality of Life(QOL)」社会への貢献を実現すべく、ヘルスケア領域におけるバイオビジネスを強化し、藻類から得られる機能性素材を活用することで、今後も価値の高い製品を提供していくとしている。

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