CO2排出量80%強削減 昭和電工のアンモニアで

2022年12月21日

ゴムタイムス社

 昭和電工は12月20日、同社の川崎事業所が使用済みプラスチックを原料に製造している低炭素アンモニアが、化石燃料を原料にしたアンモニアと比べて、製造過程で排出されるCO2などの温室効果ガスが80%強削減されていることを確認したと発表した。

 同社が実施したCO2排出量計算プロセスは第三者機関である一般社団法人日本LCA推進機構(LCAF)によってISO基準に適合していることが認められ、使用済みプラスチックを原料に製造している当社製の低炭素アンモニアは国内で唯一、第三者機関の裏付けのある環境性能に非常に優れたアンモニアであることが確認できたという。

 アンモニアは燃焼時にCO2を排出しない新時代の燃料として、また水素のエネルギーキャリアとして期待され、脱炭素社会へ向けた需要拡大が見込まれている。しかし、化石燃料を使った従来の製法では、製造過程で大量のCO2が排出されることが大きな課題となっていいた。
 こうしたなか、同社製の低炭素アンモニアは、使用済みプラスチックを原料とするだけでなく、製造過程でも化石燃料や化石燃料由来のエネルギーを使わないことで「CO2排出80%強削減」を実現している。循環型社会に対応し、かつ脱炭素社会への貢献が期待される環境性能の非常に優れたアンモニアであることがLCAFの裏付けにより確認された。

 同社は、1930年に肥料の原料用として国産アンモニアの製造をスタート。2003年からは、使用済みプラスチックをアンモニアなどの化学品原料にリサイクルするプラスチックケミカルリサイクル事業川崎プラスチックリサイクル(KPR)」に取り組んできた。2015年にはKPRで使用される低炭素水素を原料の一部に使用した同社のアンモニアは、製造プロセスとして世界で初めてエコマークを取得。今回、「CO2が排出量80強%削減」が確認された環境性能に非常に優れたアンモニアとは、このKPR由来のアンモニアのことを指す。

 KPRでは、家庭や企業からゴミとして排出される使用済みプラスチックを原料に、高温でガス化し分子レベルまで分解して水素とCO2を取り出している。運転中に化石燃料をまったく使わないため、熱交換率は100%となる。ここで取り出された水素は主に低炭素アンモニア・エコアンの原料になり、一方のCO2は大気中に放出することなくグループ会社の昭和電工ガスプロダクツにおいてドライアイスや炭酸飲料、医療用炭酸ガス向けの原料に使用するなど、資源循環を実現している。

 現在同社では、使用済みプラスチック由来の低炭素水素を50%、化石燃料(都市ガス)由来の水素を50%の割合で使用してアンモニアを製造している。将来的には化石燃料をまったく使わない、使用済みプラスチック100%使用による低炭素アンモニアの製造を目指している。同社はケミカルリサイクルとプラスチック資源循環のため、世界で唯一のエコロジーな化学品を安定的に提供することにより、脱炭素社会に貢献するとしている。

KPR

KPR

排出量80強%削減

排出量80強%削減

リサイクル事業

リサイクル事業

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー