増収も原料高騰影響で減益 東洋紡の4~6月期

2022年08月10日

ゴムタイムス社

 東洋紡の2023年3月期第1四半期決算は、売上高は1010億4800円で前年同期比6・8%増、営業利益は46億2100万円で同50・0%減、経常利益は43億3100万円で同42・0%減、四半期純利益は77億9700万円で同26・4%増となった。

 フィルム・機能マテリアルでは、売上高は453億円で同0・9%減、営業利益は35億円で同48・3%減。包装用フィルム事業、工業用フィルム事業において、原料価格高騰の影響を受け、減収減益となった。フィルム事業では、包装用フィルムは販売は堅調に推移したものの、原料価格高騰に対し製品価格の改定実現に時間差があることから低調だった。工業用フィルムは、液晶偏光子保護フィルム「コスモシャインSRF」が新ラインの生産性を高めることで販売を伸ばしたが、多くの製品において原料価格高騰の影響を受けた。機能マテリアル事業では、水現像型感光性印刷版用途の光機能材料は、製品価格改定が進み、為替の影響も加わり堅調だった。一方、工業用接着剤「バイロン」は、中国のゼロコロナ政策の影響を受け低調だった。

 モビリティの売上高は118億円で同6・8%増、営業損失は8億円(前年同期は営業損失5億円)。原料価格の高騰に対し製品価格改定が追いつかず、増収、営業損失拡大となった。エンジニアリングプラスチックは、国内・海外ともに自動車減産に加えて、原料価格高騰の影響を受け、苦戦した。エアバッグ用基布は、原料価格高騰により悪化したスプレッドの改善が遅れた。

 生活・環境の売上高は321億円で同15・8%増、営業利益は3億円で同81・5%増となった。溶剤を回収するVOC処理装置は販売が回復したが、長繊維不織布スパンボンド、ポリエステル短繊維などは、原料価格高騰の影響を受け、増収減益となった。環境ソリューション事業では、VOC処理装置は、世界的なEV化によるリチウムイオン電池の需要拡大を受けて、リチウムイオン電池セパレーター製造工程で使用されるVOC処理装置、および交換エレメントの販売が急回復した。不織布マテリアル事業では、長繊維不織布スパンボンドは、自動車の減産に加えて、原料価格高騰の影響を受け苦戦した。ポリエステル短繊維は、衛材用途の販売は堅調だったが、原料価格高騰の影響を受けた。高機能ファイバー事業では、「ザイロン」は自転車タイヤ用途の販売が堅調に推移した。

 ライフサイエンスの売上高は87億円で同16・2%増、営業利益は21億円で同14・7%増。新型コロナウイルス感染症のPCR検査用試薬の販売が減少するも、診断薬用原料酵素などの販売が堅調に推移し、増収増益となった。

 通期の連結業績予想は、売上高が4100億円で前期比9・1%増、営業利益が240億円で同15・6%減、経常利益が180億円で同22・1%減、当期純利益が130億円で同1・0%増を見込んでいる。

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