欧州でリサイクル認証を取得 三菱ケミの多層フィルム

2022年07月22日

ゴムタイムス社

 三菱ケミカルグループは7月20日、食品包装材などに使われるエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)「ソアノール」にリサイクル助剤「ソアレジン」を添加した多層フィルムが、欧州のリサイクル認証機関であるInstitute cyclosーHTP(cyclosーHTP)によるリサイクル認証を取得したと発表した。

 EVOHは高いガスバリア性を有しており、食品包装材として用いることで、食品の風味や品質を長持ちさせフードロスの削減に貢献することが可能。また、他素材に比べて薄膜化することが可能で、プラスチック使用量の削減にも貢献することから環境配慮型の素材として世界で需要が拡大している。このような状況下で、食品包装材をはじめとするプラスチック製品は資源循環の観点から素材のリサイクル性が求められおり、EVOHについてもリサイクル技術の開発が進められている。

 一般的にEVOHをバリア層として使用した多層フィルムでは、他の層にポリエチレンなどの樹脂が使われる。CEFLEXなどの欧州業界団体のガイドラインでは、EVOHの含有率が5wt%までであれば、EVOHを使用したポリオレフィン系の多層フィルムのリサイクルが可能と規定されている。

 さらに、このたびcyclosーHTPが実施した試験では、当社グループのソアノールとソアレジンを組み合わせて使用することにより、他の樹脂との相溶性が高まり、ソアノールの含有率が15wt%のポリエチレンベース多層フィルムにおいてもリサイクルが可能との結果が得られた。これに基づくリサイクル認証取得について同社は、ソアノールがフードロス削減のみならず、資源循環にも貢献する素材であることをあらためて裏付けたものとしている。

 同社は、2021年12月に発表した新経営方針「Forging the future 未来を拓く」においてヘルスケア&ライフサイエンスを最重要戦略市場のひとつと位置付け、食品関連領域をターゲットとした高機能包装材など、持続可能な食品供給に向けたイノベーションを牽引していくとしている。

 

cyclos-HTPの認証ラベル

ソアノールを使用した食品包装材イメージ

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