デンカ、xEVや5G需要に対応 球状アルミナと球状シリカ増産

2022年05月11日

ゴムタイムス社

 デンカはシンガポール連結子会社のトアス工場で製造する球状アルミナと球状シリカの生産能力を増強する。同社は中期経営計画「Denka Value―Up」で、自動車の電動化(xEV)や高速・大容量データ通信(5G) を中心とした環境・エネルギー分野を重点分野の1つと位置づけている。xEVや5Gの世界的な需要拡大に対応するため、生産能力の拡大を進める。
 球状アルミナは、今年4月からトアス工場で建設を進めてきた新製造設備の本格稼働が開始した。球状アルミナの生産能力は従来比約5倍(18年度比)に増強し、世界シェア約6割を占めるトップメーカーとなる。球状アルミナは、高熱伝導・放熱材料としてリチウムイオンバッテリーをはじめ、車載、通信などxEV・5G通信関連の用途で広く使用され、近年需要が急拡大している。
 同社の球状アルミナは原料を独自の高温溶融技術により球状化した高球形アルミナで、各種樹脂・ゴムなどの高熱伝導性付与などに最適な製品となっている。今回の能力増強によりxEVや5Gに必要不可欠な放熱材料の世界的な需要拡大に迅速に対応し、大牟田工場に加えシンガポールの2拠点生産体制を確立し、BCP対応を強化する。
 一方、球状シリカはこのほどトアス工場で戦略投資を行い、グループ全体での生産能力を約3割増強すると決定した。竣工時期は2024年を予定している。同社は球状シリカでも世界シェア約3割を占めるトップメーカーであり、原料を同社独自の高温溶融技術により球状化した高球形シリカを製造している。高絶縁性、低熱膨張性を活かし半導体封止材料や半導体パッケージ基板、各種樹脂への充填材として使用されており、近年需要は増加している。
 同社は大牟田工場とシンガポールの2拠点体制で球状シリカを生産しているが、今後の旺盛な需要に対応するため、シンガポールの製造設備を増強し中長期的な安定供給体制を構築する。なお、同社は昨年10 月に大牟田工場で球状シリカを含む次世代の高機能球状フィラー製造設備の増強を決定している。シンガポールへの投資を通じ2拠点生産体制のBCP対応を強化するとともに、先端・高信頼性分野への事業展開を加速させていく。

球状シリカ(拡大写真)

 

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