中大型射出成形機を開発 日精樹脂工業、熱硬化性樹脂用

2022年05月30日

ゴムタイムス社

 日精樹脂工業は4月28日、熱硬化性樹脂を用いた成形部品の大型化に対応するハイブリッド式専用射出成形機FWX760Ⅲ―130BK型を開発、6月1日より受注を開始することを発表した。同機は、熱硬化性樹脂用として、国内最大クラスの射出容量を持つ専用射出成形機で、型締力360tf(3540kN)相当の金型を搭載可能なワイドプラテンタイプ(タイバー間隔:760×760mm)となっている。本体標準価格は、5270万円(税別)で、年間10台の販売を見込んでいる。
 同機の主な特長は次の4点。一つ目は射出機構を大型化しつつも、熱硬化性樹脂の連続成形性、熱安定性を実現するため、加熱筒(スクリュ)設計を最適化しているほか、緻密な温度制御技術を搭載していること。2点目は新たに開発した、直圧式型締ならではの射出コンプレッション機能を搭載。寸法精度に優れた熱硬化性樹脂の大型部品の連続安定成形を実現したこと。3点目はワイドプラテンのFWX機では、推奨オプションの低圧成形システムN―SAPLIとの組み合わせで、より大きな金型を搭載可能。また、新複合型締機構の搭載によりコンパクトな機械設計となり、成形設備のダウンサイジングが実現可能、4つ目は2容量切換型ポンプと電動サーボモータを組み合わせたインテリジェント・ハイブリッド・ポンプシステム「Xポンプ」を搭載し、駆動源のサーボモータが必要な時に必要な回転速度で作動して作動油の吐出流量・圧力をコントロールする。Xポンプの搭載により、油圧式成形機に比べ、消費電力を大幅に削減できるほか、エネルギー効率が大きく改善されたことで、作動油温度の上昇が抑えられ、冷却水の低減が可能となる。さらに新開発の複合型締機構により、作動油量を大幅に削減(従来機比61%減)したことから、イニシャルコストやクーリングタワーなどの冷却水設備費・管理費のコスト低減も可能としている。
 熱硬化性樹脂は、熱を加えると「硬化」という不可逆的な化学反応を起こし、三次元架橋によって強固に結びつくことで、優れた耐熱性や熱時機械的強度、電気的特性を発揮する。電気絶縁部品や半導体関連、食器類、自動車部品などの、熱可塑性樹脂では要求特性を満たすことができないような用途分野において欠かすことのできない樹脂材料だ。同社は改めて熱硬化性樹脂の優れた特性に着目し、住友ベークライトと連携、射出成形による熱硬化性の成形品としては、国内初となる成形品重量1kg以上の大型成形品の実用化に成功した。今回、さらなる用途拡大に向けて、熱硬化性樹脂製品の大型化、長繊維などの材料の高機能化に対応した熱硬化性樹脂専用の中大型射出成形機を開発した。

FWX760Ⅲ‐130BK

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