生分解性ポリマー大型増強 カネカ、150億円を投資

2022年02月08日

ゴムタイムス社

 カネカは2月7日、「カネカ生分解性ポリマー グリーンプラネット」(グリーンプラネット)の大型能力増強を決定したと発表した。同社の高砂工業所内に増強する。2024年1月の稼働を予定し、投資額は約150億円、生産能力は1万5000t/年(既存設備5000t/年と合わせ年2万t /年)。

 グリーンプラネット(化学名はPHBH)は植物油を原料に微生物によって生産されるバイオマスポリマーで、土壌中に加え海水中でも容易に分解し、CO2と水に戻り環境を汚染することがない。同社が開発に着手した30年前は奇跡のポリマーと呼ばれたが、工業規模での生産はDreamでしかなかった。しかし革新的な培養技術の開発により事業化に向けたVisionが明確になり、更に配合・成形技術が大幅に進化したことで、社会実装がRealとなった。同社は、発酵・培養からポリマー生産に関わる幅広いコア技術を有する同社だからこそ実現できたとしている。

 グリーンプラネットで代替可能な使い捨ての汎用プラスチック製品は世界で約2500万t/年と推定している。既に実使用が開始されているストロー、カトラリー、コーヒーカプセル、袋、フィルム等だけでも500万t/年を超える規模となる。環境意識の高いブランドホルダーからの引き合いが急増しており、供給能力の増強を求められている。

 同社は、今回の新増設をスタートとして、地産地消の方針の下、需要が広がる欧米での増設を順次進める計画としている。グリーンプラネットは数十万t規模の事業ポテンシャルを有しており、同社の新たな事業ポートフォリオの核となると考えられる。

 グリーンプラネットが使われる用途は多岐に渡り、今後も益々拡大していくと考えられる。そのため、同社は同設備を技術開発途上の実証プラントと位置付けており、更なる新製品開発、プロセス革新による生産性の向上やコストダウンを進め、次期増設に活かしていく計画としている。

 

グリーンプラネット製品例

グリーンプラネット製品例

 

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