デンドライト抑制技術を開発 日本ゼオン、SGCNTシート

2022年01月26日

ゴムタイムス社

 日本ゼオンは1月25日、産業技術総合研究所と共同で、スーパーグロース法により製造される単層カーボンナノチューブ(SGCNT)を用いて作製したシートでリチウム金属の充放電時に発生するデンドライト(樹枝状結晶)を抑制する技術を開発したと発表した。

 今回開発した技術により、リチウム金属電極(負極)の大幅な寿命向上を達成し、高エネルギー密度、大容量のリチウム金属電極(負極)の実用化加速が期待される。

 リチウムイオン二次電池は、IoTや電気自動車などの用途拡大に伴い、さらなる軽量化・大容量化が求められており、新しい電極材料や全固体電池・空気電池・リチウム硫黄電池等の様々な形式の蓄電池が開発されている。なかでも、リチウム金属は非常に高いエネルギー密度を有しており、二次電池の負極材料として、盛んに研究が行われている。しかし、充放電時にリチウムデンドライトが成長することによって、その電池の材料構造が変化するため、短時間で電池容量が減少することが課題だった。

 今回、リチウムとの親和性が高いSGCNTを用いて、高比表面積と高空孔率を有するSGCNTシートを作製し、このSGCNTシートをセパレーターとリチウム金属電極との間に挟むことによって、電流密度10mA/cm2、循環容量10mAh/cm2、耐久時間1000時間以上を達成し、リチウム金属単体と比べ5倍の電流密度と循環容量、20倍以上の寿命を実現した。

 SGCNTシートは量産が可能であり、今後は高性能なリチウム金属電極の実用化が期待される。SGCNTシートは同社より試料提供を行う予定となっている。なお、同技術の詳細は、1月26~28日に東京ビッグサイトで開催されるナノテック2022で発表される。

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