昭和電工、基本特許網構築 液状プライマー接合技術で

2022年01月21日

ゴムタイムス社

 昭和電工は1月20日、アルミニウム合金とポリカーボネート樹脂などの非晶性エンジニアリングプラスチックの異種材料を、液状プライマーを用いて接合する技術に関する21件の特許を取得し、2021年11月に日本での基本特許網を構築したと発表した。これにより幅広い技術において同社独自技術として差別化ができ、顧客の求める異種材料接合のさまざまな用途に幅広く対応することが可能となる。

 自動車やスマートフォンなど多くの製品は、アルミニウムと樹脂などの異なる素材を組み合わせた部材が使用されているが、現在はボルトや接着剤などによる接合が主流となっている。しかしながら、製品の軽量化や小型化、形状の複雑化や接合処理の時間低減、コスト削減の要求は強く、ボルトや接着剤などを使用しない直接接合へのニーズが高まっている。

 同社は2019年に、長年の事業で培ったアルミニウム合金と高分子化学の知見を活かし、液状プライマーを用いて、アルミニウム合金とポリカーボネート樹脂などの非晶性エンジニアリングプラスチックを直接接合する技術を開発した。同技術は、現在主流の接着剤等による接合と比較し、生産性の向上や工程の簡略化に加え、複雑な形状を持つ材料の接合にも対応可能という優れた特徴を有しており、自動車部材や電気・電子部品などの軽量化や高強度、耐久性や熱マネジメント機能の向上など、同社は課題解決のための用途開発を続けている。

 同社は今回、特許庁が進める「事業戦略対応まとめ審査」を活用して、2021年に日本において、同技術に関する基礎技術、応用技術をカバーした21件の特許を取得し、基本特許網を構築した。国際出願も行っており、ワールドワイドでの特許網の構築をめざしている。この基本特許網を構築したことにより同技術に関する幅広い技術を当社の独自技術として差別化し、アルミニウム合金とポリカーボネート樹脂などの非晶性エンジニアリングプラスチックの接合、製品の軽量化や小型化への対応、より複雑な形状の接合について、総合的に提案することが可能となる。同社は今後、顧客との共創による用途開発も本格化するとしている。

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