超低誘電損失フィルムを開発 三菱ケミ、高周波特性を向上

2022年01月20日

ゴムタイムス社

 三菱ケミカルは1月18日、高周波領域における誘電損失を低減した高周波通信向けの超低誘電損失フィルムを開発したと発表した。

 次世代通信規格として普及が見込まれているミリ波帯5Gや「Beyond5G」などは、波長が短い高周波帯を利用する。高周波帯は送信過程で電波が減衰する誘電損失が大きいため、近年、通信機器に適用されている変性ポリイミド(MPI)や液晶ポリマー(LCP)などの素材では、電波を損失させ通信に支障をきたすおそれがあり、低誘電損失の新素材の開発が求められている。

 同社は、こうしたニーズに対応するため、同社が持つ材料設計技術や合成のノウハウを活かし、誘電正接を業界トップレベルである0・001以下まで抑え、高い誘電特性を持ったフィルムを新たに開発した。

 同フィルムはミリ波帯5G(28GHz)における伝送ロスを、従来品と比べ約50%低減することが可能で、透明性や耐熱性が高く、銅密着性にも優れていることから、電子回路基板やアンテナ基板・外装材などへの活用が期待される。

 同社は、幅広い材料ラインナップと成型技術を融合して開発を行い、通信環境の急速な発展に伴うニーズの多様化・高度化に対応することで、超低誘電損失フィルムの普及と事業の発展を目指していくとしている。

 

熱可塑性・低誘電フィルム

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熱硬化性・低誘電フィルム

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