年頭所感 日本ベルト工業会 松尾聡理事長

2022年01月01日

ゴムタイムス社

 謹んで新春のお慶びを申しあげますとともに、旧年中に賜りましたご厚誼に対し心より御礼申しあげます。
 令和4年の年頭にあたり、一言ご挨拶申しあげます。
 昨年は断続的に感染拡大の第3波から第5波が発生し、3回の緊急事態宣言が発出されました。感染拡大が一服し緊急事態宣言が解除され経済活動が再開すると感染の再拡大を招くことが繰り返されました。景気の下振れ懸念が強まる局面はありましたが、ワクチン普及による感染率や重症化率の低下により、年間を通じてみると景気の緩やかな持ち直し傾向は維持されました。

 その結果、令和3年度の国内生産量は、ゴムベルト全体で22,428トン(前年比116%)、内需は16,691トン(同108%)、輸出は5,738トン(同144%)の見込みです。需要先である自動車産業、工作機械産業、鉄鋼等幅広い業種で回復傾向にありコンベヤ、伝動共に前年超えでした。
コロナ再拡大や半導体など部材不足により先行き不透明感がありますが、令和4年度のゴムベルト生産量予測は、24,186トン(前年見込比108%)としました。コロナ前令和1年比では98%と本格的回復まであと一歩のところまで来ました。その内訳は、内需が18,575トン(同111%)、輸出が5,611トン(同98%)です。
 コンベヤベルトの令和3年度の生産量は10,453トン(前年比106%)の見込みです。その内訳は、内需が6,919トン(同95%)、輸出が3,534トン(同136%)です。内需は主力需要先の鉄鋼メーカー等の需要が後半回復しましたが前半の不振をカバーできませんでした。輸出は鉱山の回復需要を取り込みました。
 令和4年度の需要予測は、12,281トン(前年見込比118%)としました。その内訳は、内需が8,736トン(同126%)、輸出は3,545トン(同100%)の見込みです。内需は鉄鋼メーカー他主力需要先が回復し前年比を大幅に超える見込みです。輸出は鉱山需要が昨年に引き続き継続する見込みです。

 伝動ベルトの令和3年度の生産量は11,976トン(前年比126%)の見込みで
す。その内訳は、内需が9,772トン(同121%)、輸出が2,204トン(同158%)です。主力需要先である自動車メーカー、工作機械産業が回復し大幅に伸長しました。コロナ前令和1年比でも109%と回復しました。
令和4年度の需要予測は11,905トン(前年見込比99%)としました。
その内訳は、内需が9,839トン(同101%)、輸出が2,066トン(同94%)です。昨年に引き続き主力需要先である自動車メーカー、工作機械産業が回復し、コロナ前令和1年比109%と回復する見込みです。

樹脂ベルトの令和3年度生産量は約110万㎡(前年比107%)の見込みです。
その内訳は、内需が約102万㎡(同106%)、輸出が約7.3万㎡(同116%)です。食品分野は外食やお土産向けはコロナの影響で苦戦しましたが、コンビニやスーパーを中心とした中食向けは比較的好調でした。ネット通販の活況や個包装の拡がりにより大型物流倉庫新設等物流分野は好調を持続し、また、段ボール需要が増加し、包装、紙工向けも好調でした。
コロナ再拡大や半導体など部材不足により先行き不透明感がありますが、令和4年度の需要予測は、約114万㎡(前年見込比104%)と100万㎡の大台は確保できる見通しです。コロナ前令和1年比では94%と本格的回復はまだ先の見通しです。その内訳は内需が約106万㎡(同104%)、輸出が約7.6万㎡(同105%)です。物流分野、包装・紙工分野は好調を維持しますが、樹脂ベルトの令和1年超えにはインバウンド需要、外食産業の回復による食品分野全体での底上げが必要です。

 今年は経済活動が正常化に向かい景気回復が続くとの見方は変えないものの新たな変異型「オミクロン型」の出現が回復の脅威となっており、感染状況に左右される状態は続きます。しかしながら、ウィズコロナの下で在宅勤務や業務のリモート化が急速に浸透し世の中がデジタル化に進んだことにより、5G(第5世代移動通信システム)のインフラ整備やAI(人工知能)活用により新たな市場の創出されました。
 このような環境下、当日本ベルト工業会では、経済政策や需要先動向等を的確に把握しタイムリーなデータサービスを行う一方、ISO TC41のメンバーとして日本の考え方をISOに反映させ日本規格の国際化を推進する等、尚一層のベルト業界発展のため貢献してまいります。
 内外ともにこの1年が良い年となり、皆様がますますご発展されますことを心から祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

松尾聡理事長

松尾聡理事長

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