売上・利益とも大幅増 原料11社のゴム関連部門

2021年12月06日

ゴムタイムス社

 合成ゴム・化学メーカーの22年3月期第2四半期決算から、合成ゴムやエラストマー原料など化学部門の現況をピックアップした。前年同期に落ち込んだ自動車生産が回復基調で推移したことに加え、ナフサ価格の上昇による価格改定に伴う交易改善なども後押しし、原料各社の売上・利益は前年同期から大幅な増加となった。
 ◆JSR
 今年5月にENEOSへの事業譲渡を発表し非継続事業となったエラストマー事業は、売上収益が859億円で同56・5%増、コア営業利益(相当)は56億円(前年同期127億円の損失)となった。エラストマー事業はタイヤ市場の回復やSSBRの伸長もあり、21年度上期の販売数量は前年同期に比べ35%拡大した。コア営業利益は販売数量効果に加え、スプレッドの改善やコスト削減により増加した。
 ◆日本ゼオン
 エラストマー素材事業は国産ナフサ価格の上昇に伴い、エラストマー素材の売上は増加した。合成ラテックス関連では、新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした医療や衛生用手袋向けの需要が継続したほか、樹脂改質用途が堅調に推移した。その結果、売上高と営業利益ともに前年同期を上回った。ただし、出荷量は手袋向けの需要の緩和による価格の鎮静化を受け、前期に比べて減少したとしている。
 ◆三井化学
 PPコンパウンド、エラストマー、機能性コンパウンドは、部材不足に伴う車生産の影響はあるものの、コロナ影響を激しく受けた前年度上期の水準からは大きく回復している。また、価格改定に伴う交易改善や原料価格上昇による在庫評価益なども寄与し、営業利益は大きく増加した。
 ◆住友化学
 石油化学品や合成樹脂、合繊原料は需要の回復や原料価格の上昇等を背景に市況が上昇し、また交易条件も改善したことから増収増益となった。
 ◆旭化成
 マテリアル事業は5703億円で同30・1%増、営業利益は607億円で同191・2%増となった。自動車関連市場が回復したことによる販売数量増加に加え、需要回復等を背景として石化製品市況が急速に上昇したことなどから、大幅な増収・増益となった。
 ◆宇部興産
 合成ゴム事業のBR(ブタジエンゴム)は、タイヤ用途を中心に出荷が堅調に推移したことに加え、ブタジエン市況の上昇などにより製品価格が上昇し、増収増益となった。
 ◆デンカ
 クロロプレンゴムの販売数量は需要回復により、産業用途や接着剤用途、自動車用途などの需要が堅調に回復した。
 ◆東ソー
 クロロプレンゴムは、需要回復に伴いアジア向けを中心に輸出が増加した。ポリエチレン樹脂は、需要回復に伴い国内輸出ともに出荷が増加。また、ナフサ価格及び海外市況の上昇を反映して製品価格が上昇した。
 ◆クラレ
 イソプレン関連は、ファインケミカル、熱可塑性エラストマーセプトンともに、需要の回復により販売量が増加した。 耐熱性ポリアミド樹脂ジェネスタは、電気・電子デバイス向け、自動車向けともに需要が伸び、販売が好調に推移した。
 ◆信越化学工業
 シリコーンが含まれる機能材料事業は、すべての用途と市場で需要が増大し、全生産拠点でフル操業を継続して最大限の供給を行った。一方で、原材料価格の高騰に対処すべく一連の価格修正を実施した。
 ◆ダイキン工業
 フッ素樹脂は、世界的な半導体・自動車関連の需要回復が鮮明になってきており、売上高は前年同期を大きく上回った。また、フッ素ゴムも自動車関連を中心に需要の回復が顕著となり、売上高は前年同期を大きく上回った。

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